レビュー一覧

さすが曽祢まさこ先生、こんな奇想天外な話でも最後まで読ませます。コメディなのかホラーなのかハートウォーミングなのか、さっぱり分かりません（笑）でも決して後味は悪くないです。

はっきりいって山なしオチなし。ミステリー要素・恐怖要素皆無な作品もさることながら、なぜこんなことが起こるのか！…って煽っといてなんの理由も説明もないって…。売り込み文句に偽りありすぎです。恐怖はどこに？顔が思い出せない理由は？なにもありません。学生時代どうしても顔を思い出せない友人がいましたが、彼女はそれを武器に立派な社会人になっていましたという話です。

おもしろいことはおもしろいけれど、「極上」というほどの作品ではないと思います。アイデアはいいのに、そのアイデアを十分発展させるところまで行っていない。その同級生が卒業後どうなったかという結末は納得できますが、彼女がなぜそういう特性を身につけたかという理由づけがゼロなので、物語として完成しているという印象を持てません。この作者なら、ページ数さえあればその理由をちゃんと描けるはずだと思うんですが。

ホラーというよりはサスペンスなのかな？ちょっと非現実的な話で、あまり入り込めない話でした。主人公は顔のない同級生ではなくて、同じクラスの子。もっと、顔のない同級生の方に照準を当ててほしい感じです。

つまらないワケぢゃないけど…中途半端な所で終わらせないでほしい。あれから先がどうなったかが知りたかったのに。

顔がないと言うより顔を思い出せないわけですね。淡々と進んでいく物語にいまいち没頭することが出来ず、少々盛り上がりに欠けるかなと思います。

作者さん買いです。曾根先生の作品は１０代から読んでおり大ファンです。安定したミステリー感？ありで独特の作風、絵も大好きです。印象の薄い人、いるよな～と同感しました。ここまで覚えて貰えない人も珍しいとは思いますが物語の中なのでアリかと。　どんな人でもその個性を生かした場所があるのだと教えて貰えた気がします。

暗い感じに終わるお話かなと期待していましたが、ぜんぜん違いました。適材適所という言葉が頭をよぎりました。

すごく恐くてどきどきしながら読み進めました。

短いお話でしたが、おもしろかったです。主人公の友人との再開が微笑ましく思えました。