レビュー一覧

映画を見ているようで、一気に読破してしまいました。完結してますが、続きが読みたくなるそんな作品です。残虐なシーンがあるので、ニガテな方は気をつけて下さい。

メンタル強めな人以外にはお薦めできません。娯楽作品は幅広いですがこれはエログロありのサイコホラーに思えます。星を3か4で迷いましたが作りはしっかりとなされていて読み解く不足はありません。50話迄読み進められれば最後まで読めると思いますがそれまでに読者の耐性が何度も試される気もします。登場人物ほぼ全員のエゴが程度はあれ浮き彫りにされ癒されるのは数人の関係者、先生、イノシシぐらい。エロチックな場面も多めですがロマンスはほぼ求められず、はぁはぁと息遣いの荒い描写も多いですが推し同士ならときめくかもしれませんがそこまで感情移入できず終盤の束の間別世界の住人の様に並んで寄り添う数コマの方が魅力的で多い濡れ場の意味は私にはありませんでした。それでも読んだのは無料配信の所を読んでいた為でこちらでも残りと他の話も読みました。環境と時代と出会い方が違えば主人公アインともう一人の主人公イルモもこうはならなかったかもしれないとは思います。むしろ流行りの転生ものでもしてグロを全回避してほしい。というのもイルモの所業が無差別ではなく選択肢による雰囲気があると物語後半で読み取れたからです。54話で「社会にとって有害なのはどちらも同じ」とイノシシ(将来の害獣)とイルモ(本人)のどちらかの命の選択をアインに委ねる場面があります。そこから結末まで読んでみようかという気持ちになりました。アインも後半ではイルモの事を「共に生きてはくれないが共に死んではくれる人」と悟っています。ただイルモが寸前の死に逆らうのはアインと共に生きたい願望かもしれませんし、その願望は手段を選ばずこの世での害でしかありません。救われない愛を隠遁する事で解決させようとしても模倣犯が隠遁を許さない状況になるのは罰かもしれません。後半にも残酷な火災描写がありますがそんな小規模に終わる事はありません。私含め絨毯爆撃を知らない世代になっているのですから馴染みのない燃料への危険性は測りかねます。が、安易に燃料と考えない方が良いでしょう、静電気だけでも発火します。どんな事情であれどんな状況であれ消火の手段を完璧に準備していない火は害悪です。延焼し人や町、山林を巻き込みます。なのでそれの無い描かれ方は登場人物に知性の欠如を見つけてしまいます。ただ作中のイノシシにふと考えさせられます。食べる為生きる為命を狩り奪う事を正当化している事もエゴですね。