レビュー一覧

不埒シリーズその後を書く短編集なので、シリーズのどれかを読んでいないとわからない内容です。 時系列的には『不埒なｲﾝｾﾝﾃｨﾌﾞ』の裏話です。 ●『ｽﾍﾟｸﾄﾙ編』(ｼﾘｱｽで、本編で書ききれなかった完結編のような感じです。『ｲﾝｾﾝﾃｨﾌﾞ』の日比野が相談にのったり、平田に逃走されてﾃﾝﾊﾟｯてるのが見れます) ●『ｲﾝｾﾝﾃｨﾌﾞ編』(本編その後。日比谷視点) ●『ﾓﾝﾀｰｼﾞｭ編』(すっかり熟年ｶｯﾌﾟﾙ。『ｽﾍﾟｸﾄﾙ』の直隆がお悩み相談にきます。) 私は『ｲﾝｾﾝﾃｨﾌﾞ』日比谷×平田が一番好きなので、日比谷視点が楽しかったです！できれば、本編に組み込んでほしかったですね〜

とりあえず、マキの家族問題が片付いてヨカッタネ、というお話でした。お兄さんのあのスットコドッコイを期待したのですが、今回はシリアス路線でした。マキのお義姉さんが、ねえ・・・独りよがりの正義でマキのトラウマを抉る抉る。おかげでまでがウザい状態になりますが、あなたの為よと言って逃げ道塞いで追い詰めるなんてことされたら、そりゃあそんな状態になるよね。地獄への道は善意で舗装されてるって感じ。何であの義姉は、マキが親に拒絶されてるってことを何度も何度もゴメンという言葉添えてメールでマキに思い知らせてくるんだろうね？本当はマキを痛めつけたいんじゃ？と思ったくらいでした、もういやだ傷つけないでと頼むマキに、頑張ろうよと追い詰めるのは酷かった。この作者さんの描く女性の中で一番エゲツないタイプでした。BLなのに彼女が一番存在感ありました。日比谷カップルはひたすらエロエピソード。明義カップルは、ラブ要素足りなかったなあ。前のその後エピソードでも、安定し過ぎて淡々としてただけに、今回こそは甘い甘いのがみたかったです。

メインの真幸は一番苦手な自虐ヒスキャラなので随分迷ったのですが、日比谷×和典を読みたくて買いました。真幸の幾ら何でも我慢できないメンヘラ話は読み飛ばし、そんな迷惑製造機に巻き込まれ衝突事故後、和典がより一層可愛く健気な癒し系に思え、日比谷がメロメロで新たなステージへ足を踏み入れるのを語るのは楽しかった。やっぱり、この２人だけでたっぷり読みたかったな。

インセンティブしか読んでいなかったのでテンプテイションのみ読みましたが甘い後日談を堪能出来ました。日比谷と和典のカップルのお話がどうしてももっと読みたかったのでテンプテイション単体に6チケでも惜しい気はまったくしなかったです。が、もっと読みたい（笑）もう一冊分くらいいつか出ないかな……

日比谷×和典カップル、よかったです。和典が苦しんでる間、日比谷がテンパってるところを見られたのが嬉しい。マキは正直鬱陶しい…グジグジしちゃうのはよろしくないところですね。未直カップルはまるで熟年カップルのようで、ちょっと寂しいやら。

真幸のネガ思考が大半占めてるので、その部分はちょっと読んでてイライラします。ネガ思考多かったので星３つで。

短編が３編で、「不埒なファシネイション」は「パラダイムシフト」の続編で、ようやく真幸の家族問題がほぼ解決。「不埒なテンプテイション」は「インセンティブ」で和典が逃げ出した真幸X日比谷のゴタゴタを日比谷目線で書いたもので、和典の純情にジーンときます。最後の「不埒なアイドレイション」は、同じく真幸が悩みまくっていた当時の直隆を弟の未直目線で書いたもので、シリーズ読者には堪らない内容でした。

不埒シリーズ全てのカップルの短編集でそれぞれがメインであったお話の裏の事情がよくわかって、あの時のこのキャラはこんな状態だったんだとか繊細に知ることができました。メインは真幸の家族を中心に繰り広げられるごちゃごちゃで、もうほんとーーーに名執の人間に振り回されてばっかで直隆さんや日比谷さん、和典くんが気の毒で仕方なかったです。でも、それだけトラウマが深くて家族に気持ちを残している、家族を愛しているからこそあそこまて悩んでしまったんだろうなあと思うと真幸のことも嫌いになれません。ただ、大きな過ちは相談する相手が間違えていたことで。そこが大問題だったわけですね。もう、みんなパニック状態で頭真っ白になりすぎでヒヤヒヤします。この短編で何が良かったかって、日比谷さんの本気で狼狽える姿が知れたことですかね。和典が思ってる以上にメロメロに骨抜きにされてて、執着度が増し増しな感じがたまりません。そして、愛の告白をしっかり貰えて良かったねえぇと涙ポロリしました。頭わしゃわしゃしてあげたい。そして、未直カップルは平和だな〜熟年夫婦っぷりにホッコリしました。

短編集てす。本編の裏側からの話です。別の人物からの視点で読み進むので、そこがいいです。

不埒シリーズ読んでて、続きはうれしいです。