レビュー一覧

迷わず星5つ。今年になって読んだ中で、ベストとも呼べる作品。図書館の貸し出しカウンターから始まる、どこにでもあるような出会い。自分を受け入れてもらえず、自分自身を受け入れることもできなかった故郷に戻ってきた八月一日（やぶみ）。時間つぶしに訪れた図書館で司書の萩原と交わした会話がバス停での偶然の出来事を導き、そこから海を訪れるドライブへと繋がる。若い萩原にかつての自分を見るようで、自分に寄せる気持ちは「仲間意識」だと突き放す八月一日。「好きだから」と、てらいなく寄り添い、一歩を踏み出せなかった16才の八月一日を「悪くなかった」と受け止める萩原。「番外編」の涙の意味するところ。それぞれの家族とのやり取りが時折挟み込まれ、期待と失望、断絶と修復、寛容と理解などが背景に浮かび上がる。ビジュアルではジョゼさん並みの下まつげの長さが印象的。そして、スタイリッシュな八月一日の色っぽさと、どこまでも真っ直ぐな萩原の可愛さ。是非是非。

この作者様の「プレイアフターコール」がすごく好きなので期待して読んだのですが、今作は2人の言葉のやりとりがわかりづらくて、それがめんどくさい八月一日さんの大人の雰囲気を醸し出しているんだとは思いますが、感情移入しにくいのが難点でした。でも最後の萩原君の言いたかった言葉は、本当に八月一日さんに寄り添っていることがわかる言葉で、もっと若い頃にそう言ってくれる人に出会えていたら八月一日さんも違う人生を歩めていたんじゃないかと思ってしまいました。もう少し素直に楽しく会話している2人の姿が見てみたいです。

途中まですごく良かったです。図書館からのゆっくり展開も車中の会話もいい。でもそこからの踏み込みが浅く思え、失速しました。家族のことも二人のことも、丁寧に描いているようでどこか希薄。ヤブミさんは匂わせセリフが多くて、どうしても上っ面しか見えてこず熱量不足。個人的にいちばん惜しかったのは、「１６の子供が…」というヤブミを救いあげる言葉が描き下ろしにあり、本編に収まってないこと。これ核でしょう。心掴まれましたよ。私が雑誌連載での読者なら、波でずぶ濡れ！みたいなお約束シーン省いてでもこれは入れて欲しかった。この構成に対して評価はかなり下がりました。

プレイアフターコールで大好きになった作家さんです。この度はタイトルどおりスローリーな展開で、田舎に住む図書館勤めの穏やかで実直な攻と、訳ありそうな受のお話。会話遊びが秀逸な作家さんなんだけど、今作の受は匂わせるような話し方が多く、大人っぽいんだけどもう少し熱量みたいなのを感じたかったかなぁ。少し物足りないお話でした。書き下ろしまで読まないと満足感得られないんだけど雑誌では書き下ろしまで読めないから余計もひとつパンチ足らんまま終わったでしょうね。勿体ない。プレイアフターコールよりHな感じも控えめ過ぎてもう少しその要素も欲しかったですね。絵の雰囲気は相変わらず好きですが物足らないと感じる人が多いと思う。甘めで星4個。

画力が半端無くて、漫画というより映画を１本観た読後感でした。 波の音や地方独特の空気感が肌で感じられ、その分八月一日の心情が心に刺さりました。 描き下ろしがとても素敵でした。

田舎の穏やかさや閉塞感とゆったりとしたストーリー運びがマッチした大人っぽい作品でした。お互いを知り、徐々に距離を縮めていく様子がとても丁寧に描かれています。いろいろな事情があるのかもしれませんが、描き下ろしの部分は本編に含めてあればもっとよかったのに、と個人的に思っています。

前作がDom/Subものはあんまり好みじゃない私でもグッと惹かれるものがあったので、期待しすぎたのか、それほど良くもなかった。八月一日さんが雰囲気だけの大人に見えてしまって共感出来なかったです。

レビュー良かったので買ってみたけど、雰囲気漫画って感じでした。絵はとても上手で綺麗だけど、心理描写が丁寧なようにみえて急に話が進み→感動的なラスト！！みたいになって置いてけぼりになった気分でした。あと、受けが歳上でおじさん？ぽいような発言が多かったわりに見た目が全然おじさんに見えないし、影のある設定も中途半端だった感じがします。互いの家庭環境の対比もさせたかったんだろうなーとは思うけど、かすったくらいの感覚。続編があってそのへんを詳しく掘り下げる、とかでない限りはこの一巻だけだととても中途半端な感じで…。エッチシーンも何だか中途半端だったのも残念でした。

いい！いいお父さんだ。こういう話増えて欲しい！当たり前までいかなくてもいい。理解してくれる家族が増えて欲しい。我が子の幸せが大切。世間は気にしない！いつか、世間も変わると信じて。家族はありのままを受け入れて欲しい。

しっとりした空気感がある大人の恋愛。読み応えあるストーリーで惹き込まれました。キレイな顔立ちの歳上男性で耽美な雰囲気さえ感じる彼が若い図書館スタッフを魅了し翻弄する様子がこっちまでドキドキしてきます。とても良い本に出会えた気持ち。