レビュー一覧

いわゆるBLではなくてゲイもののショートストーリーです。フラットな絵柄と少ない台詞でほんのりいい話もきつい話も同じように淡々と描かれるのに、それでも色っぽさや心の葛藤がしんしんと伝わって一作一作の読み応えが大きいです。それにコマ割り？がいいというか、構図がいいというか、たまに、2人を覗き見してるような気分にさせられます。ちなみにすごい絵がいい作者さんなので、全編カラーの表題作はうれしいー♡

絵で躊躇われている方は一度苦手意識を忘れて読んで欲しいなと思います。表題作はフルカラーで綺麗です。お話もまっすぐな性格ゆえ、なかなか周囲とうまくいかないモジャを心配してあれこれ世話を焼く友人長良との恋をゆったりと描いていて、心温まる作品です。表題作の他に短編が何作か入っていますが、うまくまとまっており、どれも良かったです。先生の作品はほぼエロシーンはありません。ありませんが、読者の想像に任せる作風が絵柄と合っているので、これからもこのスタイルでいってほしいなと思いました。

短編集ですが、どれも面白かった。本当になんだかやさしい気持ちになりたい時読んでほしいです。

自分のしたい事を追求するだけでは食べていけない、納得できない事が積み重なると、自分のしている事の意味や価値がわからなくなって疲弊していく辛さ、それを横で見ている辛さ。純粋に自分を曲げずに食べていける人はどのくらいいるんでしょうか。でも最上くんは市井の絵描きで終わらない、きっと世の中に認められる時がくる、と希望が感じられるラストでした。他の短編もショタが苦手な割にはそれなりに楽しめましたが、羽村さんと太一くんの関係性がイマイチ分からなかったです。306号室の奇術師と柳ちゃんは好きです。やっぱりこの作家さんの作品は同級生とか年の近い同士のやり取りが私は好きです。

花鳥風月を読んでとても良かったのでこちらも購入しました。短編だけどどれも素敵なストーリーでした。ほんわかじんわりと良い話で良かったです。

イラストレーションとして惹かれたせいもあり、ほとんどの作品は紙で持っています。 テーマが深いところに触れていても、この絵のタッチでファンタジーに持って行かれるのが救いというか？ちょっぴりもの足りない感ありと思うか？ …ただ、描かれてない部分に想いを馳せる(遺す)事が出来るので、何時までも何度でも読み返すのも愉しい作品(作家さん)です。 「ネクタイとカマキリ」「泣くのはおよしよ仔リスちゃん」好きです。

「のら」と「花鳥風月」に深く感動しただけに、この短編集にはやや肩透かしを食らいました。短編としてよくまとまったお話ばかり。まとまってはいるけれど、微かな希望を感じさせる表題作を除いて、残りの作品はどれもちょっと意地悪だったり、後味の悪さが残ったりする展開。私のストライクゾーンから外れてしまいました。

表題作は良かったのですが、短編は今ひとつなのもありました。セリフも無く、少ないページやコマでも、深い内容や心情を語るのが素晴らしく上手い作家様だと感じます。

自分の信念を曲げずに何か１つのことに打ち込めるってカッコ良いですよね。お母さんも公認のゲイのカップルも羨ましいし…絵があまり得意な感じではなかったのですが、購入後読んでなんだか切ない物が多くて買って良かったと思ってます。そこまでどエロいシーンがなかったのがこの絵柄にはあってたのかな…って、思えました。

ヤマネ先生の作品は、なかなか手に入らないので嬉しいです！ほのぼの、ほっこり、せつないといろいろあって楽しめます。