レビュー一覧

作者様の『イングランドを想え』も大好きでしたが、こちらも面白かったです。ゴーストハンターと新聞記者がかかわるいくつかのオカルティックな事件をまとめたかたち。バディものとしても読めます。前作もそうでしたが、本作も時代設定は同性愛が許されない頃のもので、そこが事件に絡んでくることも。互いに相手に自身を捧げ、護られるより護りたい、深い絆を作りあげていくふたりなので、胸が熱くなるシーンもあり読みごたえあります。一般的な意味でのスピンアウト的要素もあり、関連作を知っているともっと楽しめる部分もあるかもしれませんが、知らなくても問題なし。彼らの人生と余生にしばし思いを馳せたくなるような、余韻あるストーリーでした。あと文善やよひさんの挿絵が珍しくて、これはこれで雰囲気あるなぁと。ちなみにモノクロームロマンス文庫作品ですが本作はリバなしです。

この作者さまの、ノリというか、センスが好きです。訳も読みやすくって、楽しめます。

とにかくストーリーがしっかりとしていて引き込まれました。決して甘々ではありませんが、登場人物たちの設定や描写、時代背景。読み進めていくと思っていた以上にやられてしまいました。最後の章、私は病院の待合室で読んでいたのですが、、まさかの号泣でした…強く愛し合うために出会い、生きた素晴らしい紳士のお話でした。

冒頭の伝言文がとても意味深。読み進めるにつれてそこにある一言と日付が気になりだして、結末がどうなるのかとドキドキしました。2人が、出会った最初の浄霊中に交合してしまうので「えっ、早ッ？！」って感じでしたが、そこから幾つかの事件を通して無二のパートナーになっていくのも見ものでした。政治的に利用されたり何やかやと気持ちのいい話ばかりではなかったですが、だからこそ彼らが取ったのであろう選択が理解できました。回想録を受け取った編集者の夢想通りであってほしい、いやきっとそうなはずと終わった後も思いを馳せる作品でした。