レビュー一覧

一族の恨みを、父親と自分の苦しみを晴らすための復讐に燃えるヒーロー・オリヴィエ。激しい不の感情が一枚の絵を中心に渦巻いています。冷徹、非情、仮面を被ったオリヴィエが復讐を遂げる目的で近づいたベラに意表を付かれ、感情を揺さぶられるさまが巧みに描写されています。裕福な家庭で、由緒正しい家系でそだったお嬢様かと思いきや、一族の日陰者として苦悩するベラ。そして彼女のスキャンダラスな事件や侘しい生活が、誤解や真実が明らかになるたびにドキドキさせられました。ちょっとした一言がまだ明かされていない過去の事実と結びついていて驚いたり、二度も命を掛けてベラを救うオリヴィエの姿に惚れ惚れしたり、ストーリーに隙がなく予想できない展開にとても満足しました。”絵”という芸術を中心にお話しが展開するので、とてもエロティックでもあり、想像力を掻き立てられてしまいました。苦しんだ末にオリヴィエが曰くのショールと共にベラを取り戻すことができてホッとしました。