レビュー一覧

新刊か？と思ったら、2011年の作品の再発行でした。主人公は確固たる信念のもと洋菓子店を経営する比呂也。確かな味覚を持っていながらも自分で菓子作りをするオーナーパティシエではないので、去ってしまう従業員に代わる人物を早急に見つけないと店の経営危機に陥ってしまう…！という時に、まさに救世主のようなパティシエ　孚臣と出会うのですが、これがひょんな経緯から初対面時に肉体関係を持ってしまった人物。自分の店のコンセプトを見事に形にしてくれる唯一無二の従業員かつセフレ的存在であったのが、それぞれの姉と兄の結婚によって違う形の結びつきまで出来てしまったので、ますます複雑な心境に…という話です。（これ“兄弟“と表現されてますが、自分の兄弟姉妹の配偶者の兄弟姉妹までそう呼ぶのは？？姉にとって孚臣は義弟ですが、比呂也にとって親戚にはなるでしょうがそこまで近くないんじゃないかな？という気がします。だってそれだったら姉の義両親まで比呂也にとって親になっちゃう）冒頭が現在（比呂也の店で孚臣がパティシエをやっており肉体関係がある）から始まるので、その後の二人の出会いエピソードが新鮮に感じなかったのが残念ですが、ストーカー女を騙すための2人のやりとりや、パティシエとしての面接・テストなどは面白かったです。比呂也が自分の気持ちや二人の関係、孚臣のパティシエとしての可能性についてぐるぐる悩むのですが、孚臣が広也への愛情をもとにどっしり構えてるのは間違いないことはずっと伝わってくるのでハラハラすることはありませんでした。お菓子の描写や比呂也の店のコンセプトなどはとても興味深かったのですが、閉店後の厨房でのHは「ううっ　衛生上それはどうなんだ？美しい洋菓子が生み出される作業台で？上に住んでるんならわざわざ店でやるこたないじゃん」とちょっと客視線で複雑な気持ちになったのでー★で。

この作者さんの本を読むのも久しぶりなんですが、相変わらずお好きなパターンがおありになるのねと微笑ましかったです。このレーベルはレンタルがあるので手頃な値段でたくさん読めて有り難いです。

設定は好きだし絵もきれい。ほかの方の感想どおり淡々としすぎていて、ちょっと途中から読み飛ばし気味でした。

作者さんの好みなんだな、この登場人物の性格は、と思わせる感じがする。特に山あり谷ありでもないし、兄姉が婚姻した事がそんなに関わりあるのか？ぐるぐるとヒロヤの中でしつこい程繰り返される事や、タカオミが言葉足らず過ぎな事でほぼ成り立って、少し焦れるし、飽きる感じも否定出来ないが、スゥイーツの甘さでなんとなく丸め込まれた感じがする。兄姉のやや自分勝手は好ましくなかったが、後輩や和田先生はとても好ましく好々爺です。

作者さん買いです。大きな波乱もなく、ドロドロ感もなく、ゆったりと読めました。もう少し、恋愛のライバルが出てきても面白かったかも…と思いました。