レビュー一覧

話はほぼ原作通りです。人前でヒロインをビッチ扱いするヒーローのクズぶりも、誤解が解けた途端にヒロインの家に押し掛けいきなりセックスをするヒーローのどうかしている言動も、ヒロインの低過ぎる自己評価も考えたら原作とそれほど違いはないのですが、荻丸先生の所々でのアレンジが上手く効いていて、原作より断然良いラブストーリーになっていました。何よりヒーローがヒロインを侮辱する場面を原作より大幅に減らした上に、ヒロイン友人スーがヒーローに話をする前に、ヒーローが他の人たちからヒロインの結婚生活の話を聞く場面を入れている所が良かったです。

この作者様のファンです。絵柄は古いですし、決して上手いとは言えない（すいません）のですが、とにかく「読ませる」作家さんです。畳み掛けるようなストーリー運び、いつも感情移入をさせられます。ハーレクインの漫画化では、あらすじを上辺だけなぞっただけ、絵がキレイなだけの作品も割とありガッカリする事がありますが、この作家さんの作品はいつも読んで満足度が高いです。今回も涙がこぼれました。良作だと思います。

記憶違いじゃなければ、原作者はヒロインをいじめにいじめていじめまくった後に幸せにするストーリーが多かった様に思いますが、コミカライズではその匙加減が絶妙になされているというか、荻丸先生の構成力の素晴らしさなのか、数々の不幸と一度きりでも大きすぎる深い傷で萎縮しきったヒロインを、ヒーローを始め親友や師匠など、いくつもの優しさが支えてくれています。お互いに関しては結局二人揃って一目惚れだった訳で、シンプルですが寧ろ良かったです。

お話は定番過ぎて陳腐なくらいなんですが（いや、原作の筋がね）、画家さんは上手です。これ、もっと長編で読めたらなあ。もっと心理描写とか出来ていいんだろうになあ。

ヒロインとヒーローの出会いは誤解されても仕方ない出会いでしたけど、8年後の再開もすごく辛辣な態度を取られ気の毒でした。周囲の人がヒロインに好意的なのが救いでしたね。また最悪な夫が亡くなって財産は失っても自由を得られた事が幸運です。17歳からの8年は人生で1番楽しい時期なのに…と思いました。

ヒロインの心情もヒーローの心情もしっかり描かれて、脇役のヒロイン親友に、自動車修理工場の人、不動産屋さん、ヒロインに仕事依頼する夫妻、そしてヒロインのステンドグラス工房オーナー夫妻まで、登場人物が全て上手に2人の関係性に絡んでいます。ヒロイン屋敷近くに刑務所有ると売値が安くなる不動産屋のセリフも囚人脱走エピソードには必要で、それで2人が一線を越えて親友にも秘密が出来て怯えるヒロイン心情描写が凄く良いです。ラストに、ヒーローが女性に対してトラウマになっていた離婚して自分を置いて出て行った母親と連絡とったエピソードも唐突でなく、ヒロインのおかげだと思えるストーリー展開でさすが荻丸先生です。

クズな男と毒母親にひっかっかる気の弱いヒロインが気の毒ですが、最後はめでたし。絵が好み

ああやっぱりペニージョーダンはなんだかんだ言ってもいいわあ。いちゃもんヒーローは健在だし。心のすれ違いの描き方が素晴らしい。最後のヒロインに勇気を出して励ましてくれる夫婦は良かったです。

ヒロインの女性が上品な感じで色っぽいのがい～いですね。本音を話して幸せ恐怖症を乗り越えるところも素敵。熱い恋バナも見事に混ざって楽しめます。お勧め！

ヒロインの母は自分勝手な人で、若くして結婚した相手も酷い人で、よく耐えてきたな、、と。お互いに心の空白を埋めれる相手と出会うことができ人生も巻き返せて良かった。