レビュー一覧

病気の家族を看取ったことがある立場から、いくつものあるあるがあって、涙が止まりませんでした。医師の説明を聞く時、その後本人と話す時、弱っていく寝顔、終わってしまって、私物を持って帰る日…。ひたむきな主人公だからこそ、回りが一人にしないでいてくれて、本当に良かったなと思いました。後日談が読みたいです！

派手さやドラマティックさはありませんが、しっとりと優しい物語。主人公の真巳とそのたった一人の身内である祖父とのやり取りや心情が丁寧に描かれていて、祖父が病に侵され日々刻々としに近づいていく描写には胸が詰まりました。実の父親から愛されず義母と義兄からは冷遇されていた不遇な身の上の真巳でしたが、彼と奇妙な運命で繋がっていた喫茶店のマスター江島を始め、弁護士の駒沢や定時制高校の友人桧山など周りが優しい人たちで良かったです。

静かで切ないお話です。真巳がとてもいい子で、苦難に前向きに向き合う健気さに心打たれました。そんな彼を大人たちが優しく見守って、心温まります。

辛くてしんどい状況が次々と起こるけど、周りに頼らず全て自分で抱え込んでしまう受くん。健気で良い子過ぎて切ないです。これからは包容力のある大人な攻さんに温かく包んでもらって、少しずつ甘える事が出来るといいなぁ。切ないけど、優しいお話です。

切なく悲しく優しいお話です。受けクンの境遇が切ないです。両親を事故でなくし、大好きな祖父と暮らしていたのですが、祖父は病気で入院中。事故の前も家族から冷遇されるというつらい状況でした。一生懸命頑張る毎日ですが、優しい人達に出会い乗り越えていく姿に、ほんとに拍手したくなります。

作者買いです。切なくて切なくて。相手との関係から切なさがつのるのではなく、その人の背景が切なすぎる。ただのBL小説を読むのではなく、きちんとした小説。よかったです。

不憫受けお好きな方は是非。本当に、可哀想受けの重め設定のお話描くのがお上手な作家さんです。不憫な設定自体はどこかにありそうなものだけど、それをここまで描写できる方はなかなかいないのでは。両親を事故で亡くしていて祖父と二人暮らし、その祖父も病気で入院中、お金にも少し困っていて勤労学生、という時点で不憫度充分なのですが、両親を亡くす前の方が可哀想な境遇にあったことが意外でそこがまた切なかったです。被害者遺族と加害者遺族ではあるけど、実際身内を亡くした悲しみは江島(攻め)の方が大きかったり、でも祖父の気持ちを慮ってそばにはいられないと思ったり、事情も事情だけど思いが複雑でそれがよく描写されていたと思います。すごく引き込まれました。江島に嘘をついてもった体の関係も好みの展開すぎました。ほぼ完璧に好みだったけど、駒沢さんの恋愛感情はちょっと、それは無い方が良かったかなと。星4.9くらいです。いつもは「もっと拗れてー」と思うけど、「お願い早くくっついて幸せになって！」と願いながら読んだ稀有な作品です。くっついてからの書き下ろし後日談とか読みたかったなー！

哀しいことはいっぱい詰まっているのですが、優しいお話です。優しいから辛いこともあるけれど、手を取ってくれる人がいたら乗り越えていける、そういうお話です。