レビュー一覧

『発熱バスルーム』とかいう、ハートウォームなBLを彷彿とさせるような題名からは天と地の差がある、「発熱どころか大火傷」の内容です。簡単に言うと『ディープな純文学』です。主人公が初めて会った（？）ストーカーに監禁されて◯◯◯されてしまう、という冒頭からして、既に一般的BL読者は置いてきぼりな衝撃の内容ですが、流石のARUKUさん作品、そんな所では終わりません！・・・加害者のマナト君は何故あのような狂気の行動に走ってしまったのか、それは物語を最後まで読めばお分かりになると思いますが、具体的に彼の身に『何が』あったのか、何故そこまでして主人公を『何から』『守ろう』としたのかは、（多分）「敢えて」明かされません。でも、分かる人には分かるのです。この物語をよりDEEPに感じられるかどうかは、読者のこれまでの人生経験に裏打ちされた『想像力』次第なのです！何て恐ろしい作品を生み出したんだ、ARUKUさんは！！この作品の凄さは「エロ」「ハッピーエンド」とかBLの定型詞を超えた所にあります。至高のBL（＊）を読みたい人には是非読んでもらいたいです。そして「生きることの辛さ」を噛み締めて生きてきた人には、きっとこの作品は『救済』になることでしょう。（＊昔『小公子』とかの世界名作劇場とか見て泣いてしまった人とか、ワーグナーとかプッチーニのオペラ悲劇が大好き！とか、昔ドフトエフスキーとか遠藤周作とか読んで「罪」と「罰」について深く考えてしまう人とか、BL小説なら木原音瀬さん一択！とか（密かに）思っている方・・・・そんな方々向けの至高のBL漫画です。。。何故BLには芥川賞がないんでしょーね。）

前回の作品が素晴らし過ぎてそれと比べちゃうと物足りなさはありますが、ARUKU先生のエロバージョンの中では1番振り切っていて結構好きです。監禁ものなのでエロ多めで、受けの乙女化もここまで行くといっそ清々しいです。いつものARUKU作品にあるような心を抉るシーンや意外な展開などは弱く、伏線があるので結末は予想出来るのですがこれはこれで楽しめました。今後も心を持っていかれるような作品を期待しています。

内容はいつもどおり。劇的なお話。うーん、ごめんなさい。個人的な問題ですがちょっと作者様の世界観についていくのが厳しくなってきました。いつもながら突飛なので惹きつけられる何かを感じられないと難しい。そろそろ様子見ようかとは思うのですが、前作が良かったので見極めに悩むんですよね…。

作者さん買いです。全作読んでいる長年のARUKU先生ファンの私ですが、今回は全く受け付けず、目が滑りました。そもそも、大切にしたい相手との初めてのHも、監禁場所も浴室なのが謎過ぎます。単に作者さんが、金魚のエピソードやバスタブUFOの件ありきで「浴室」にこだわりたかったとしか思えず。不衛生(しかもトイレも一緒！)で室温調整も微妙であろう浴室で寝食を強いられ、ベッドもない硬い床で抱かれ、毎晩眠る主人公の、どこが愛されているというのか、、、また、ゾンビにしろ折り紙にしろバスタブUFOにしろ、良い年の社会人の男二人がする言動ではなく、読み進めるのがつらくなる程に非常に寒かったです。作者さんのこういった会話やエピソードは、幻想物や時代物の設定にはARUKUさんならではの煌めきとなり魅力となり得ますが、現代物のストーリーになると一気に薄ら寒くなってしまい興醒めです。今作を読んで、自分はARUKUさんの現代物が合わないのだと、改めて確信しました。

酒気帯び事故で両親を失った被害者家族と、酒気帯び事故でその彼の両親を奪った加害者の家族。償いとは『何を』どこまですれば、失った物を取り戻せるのか。作者の数段上がった画力に、何かを失ってしまった私の想いはどこへ向けたら良いのでしょうか。作品としては五つ星です。

何と言えば良いのかしら。奇妙であり不思議であり、すごく深いお話。異常な執着愛ともいえるし、償いともいえるのかな。他にはない感じなのに、厳選された格好がクマちゃんとかパンダとかギャップがあるのも、作者さんらしい独特な感覚でした。さすがだな。

作者買いです。途中までどんどん引き込まれたわりに、最後がアッサリしてました。主人公のキャラが最近一本化してるので、ちょっと変化が欲しい。

良くも悪くもARUKUさんの世界だ…でも私は好き。どんな作品も読まずにいられません。グロいシーンも何度か出てくるのでダメな人はご注意を。

作者さん買い。あいかわらず独特の世界観、好きです。この内容からして今回は絶対バッドエンドだろ～…と、裏読み目線で読んでいたら、、、まさかまさかの！！！いや～良かったです。みはるちゃん延々とバスタブ暮らしにならずに一安心。北海道まで逃げた時はマナトには申し訳ないけど普通にサスペンスドラマみたいに、みはるー！逃げろー！とドキドキしました笑。寮まで殴り込みにきたマナト格好良すぎる、たまらん。マナトの狂気じみた愛も無事完結できてよかったです。それにしても今回はエロシーン多かったなあ～ほぼ無理矢理なのが痛々しいけど…途中から愛あるエッチになってきてよかった…あのままだとみはるちゃん悲惨すぎる。それにしてもハピエン最高！

たっぷりと時間のある時に読むことをオススメします。私は夜中に読んでしまい、とても眠れそうにないです。読みごたえはスゴくあります。これまでに読んだARUKU先生作品の中でも1、2を争うARUKUワールド全開な話ではないでしょうか。ネタばれになることは書きたくないのであまり説明できませんが、もしかしたら人によっては苦手な内容を含むかもしれません。でもそういうところだけでこの話を片付けないでほしいと思います。愛と憎しみ、光と闇、理屈で片付けられない人の心…いろいろ深いです。ちょっとした呟きにもハッとさせられたり。ARUKU作品にこれまたスゴい1冊が増えたことは確かだと思います。