レビュー一覧

個人的に背中に袈裟がけのひきょう傷が気のなります。

半世紀も前の作品である。小池一夫 / 小島剛夕 の組み合わせというと、まず「子連れ狼 萬屋錦之介」を連想してしまう。子連れ狼と同じ劇画風の粗くて太いタッチであるが、描かれている内容は今から半世紀もでも珍しかっと思われる純愛ものである。哀しいまでの主人公の純愛と殺伐とした画風が妙にマッチしている。

小島剛夕氏の作品は、筋か、通って奥深く、平成や、令和にはない。昭和の良きところがある。

たいへんな苦難の道のりを経てのハッピーエンドでした。まさに凄春。

明るく、喋って、何より幸せになった主人公でよかったよかった。

この主人公は、武士として認められることとか、いつか元の世界に戻ることとか、全部捨ててしまっているのがわかるので、凄い純愛が心に残りました。比べると例えば「陽○の辻」とかは、義理とか義務とかだいぶ愛以外のことに頭を使っていると思います（それで当然だし、あれはあれで勿論名作なのですが）。皆んなが老後の生活を心配しているような今の時代には、成立しづらい名作じゃないかと思います。

最後はハッピーエンドでホッとしますが、途中の波乱万丈というかイロイロな事件がありあー良かったと思えます。

試し読みだけですが…。一途に愛する人を追う浪人のお話です。ひとつひとつ佇まいの描写が美しくて悲しい。