レビュー一覧

東方Projectの新シリーズのコミック作品です。ざっくりとでも世界観やキャラクターを知っておかなければわかり辛い、というのが東方のコミックなのですが本作はとくに元からの東方ファン向け。ゲーム本編では舞台になり辛い人里を中心としたストーリーなのは鈴奈庵と一緒なのですが、一話完結だったあちらと違いこちらは長編で、本作初登場で主役の「奥野田美宵の正体に迫る」というのがとくに一巻でフォーカスされている部分なので（二巻からは正体が割れた彼女がどのような動きに出るかが中心になると思います）、基礎知識がないと置いてけぼりにされます。東方歴十五年を越えるこの道ベテランの水炊き先生による作画は素晴らしく、画力もさることながら背景で動いているキャラクターの描写が大変丁寧で、東方らしさが全開。かなり細かい所にまでネタが仕込まれているので（焼き芋の包み紙に使っているのが文々。新聞だったり、三妖精はアリスに懐いている、妖夢が凄まじくフリーダムなど）、ファンほどじっくり読むのに向いています。東方作品の一つ、ということをあえて脇に置き一つの漫画作品として評価すれば正直なところ、作画は良いですけれどストーリーはわかり辛い（ただしあえてそうしている感も見受けられます）。たぶんZUN氏は短編は得意だけれど長編は苦手なんだと思います。小さくまとまったストーリーを群体として全体を俯瞰させる構築力は凄まじいのですが……

原作ゲームの内容を知らないと、分かりづらいかも。だけど、キャラがみんな美味しそうに飲酒してて、読んでると酒を飲みたくなる。

博麗流夢想酔拳が見られただけでいいのに宴会シーンがあるのは完璧すぎる

東方の書籍の中でもまだキャラクターの知識等なくとも読めなくはない作品となっています。店内での事件（？）も現実世界での問題と関連付いていて分かりやすいのも読みやすさに繋がっているのかと思います。またキャラクター達も非常に個性的で可愛らしく描かれていますのでファン視点からでも楽しい作品となっています。

事件を抜きにしても、女の子が可愛くて、料理が美味しそうで面白いです。