レビュー一覧

しみじみよかった。なんて事のない生活で一見冴えないとみえる日常を皆頑張って生きていて、その各回の主人公の様子が丁寧に描かれていた。又、一つのお話だけだとついその主人公側からしか物事を見ないが、回を変え相手側からのお話を描くことで物事は又違った角度から見えてきて、結局だれも悪くないでしょうと思えてくる。そうすると自分の日常生活も結局自分の物差しで善悪を判断するばかりで相手の事を想像してなかったなと振り返る。

同じ街に暮らす若者〜中高年世代の市井の人の日常を、繊細でリアルな観察眼でグラフィカルに描いた作品。各話は最後のコマの下に小さくENDと書かれ、気づかないと終わりが分からないほどの鮮やかな切り取り方。ザラっとほろ苦さの残る終わり方の中に「そんなもんだよな〜」と共感を覚える。ちいさな暮らしの中で各人が抱える思いは多様で他者からは滑稽に映ることもあるけれど、視点を変えることで異なる気づきを与えてくれる。