レビュー一覧

動乱のチベットを舞台に、少年僧たちの成長と過酷な運命を描く物語。とっつきにくい設定に思えるけど、１巻は彼らの修行や暮らしが仲睦まじく微笑ましく、時にユーモラス。ダワの出自の謎も興味深くて、ぐいぐい惹きつけられます。緻密で繊細な絵にも見入ってしまう。２巻は厳しい状況になり世界が一変。「生きてくれてたらそれだけでいい」というのはよく目にするセリフだけど、暴力支配の中ではリアルと切実さが際立ち、震えます。ダワの想いがほんと切ないんですよね…同じ気持ちを返せないドルジェにも胸が熱くなった(これをBLと位置付けると、エロの有無？となりそうなのでこのカテゴリーでいい)。タイトルのシャングリラは、あえてフワっと曖昧。「どこかにある」ということは「どこにでもあるという事」…まるで禅問答ですが、二人のラストシーンにそれが重なり涙が出た。それぞれが目指す場所に到達したなら、そこで魂は出会う…と思ったので。手を繋ぐ二人を見て、あ～会えたんだなきっと、と思いました。とても静かで、清らかな佳作。

面白い！次の２巻も今年発売で、それで完結らしいですが、１巻を読んだ時点で登場人物たちに愛着が湧いてしまい、もっと長く読みたい！と思いました。著者の方はチベットにとても詳しいんでしょうね。1巻は主人公らの子供時代がメインですが、扉絵などで少し描かれる青年（美青年）になった彼らも早く読みたいです。２巻が待ち遠しいので著者の前の作品も読みます。

こっこれは、、、、すんごいものになるのでは？？緻密な書き込みと人物の感情表現といい、映画のように作り込まれています。まだ物語の起ですが大変趣きがあって期待できます。

２巻がでるのを楽しみにしていました。私はダワが好きだから……最後のページで泣いてしまいました。できれば違うラストがよかったけど時代的に史実的にはしょうがないのでしょうか。ドルジェもダワと同じ気持ちの好きであれば…私が救われたのに…と欲張ってしまいました。作画も含め美しい物語でした。

とても面白かったです。絵の雰囲気と話がマッチしてて引き込まれました。人物もかわいいのにかっこよかったです。1巻での伏線が多く、ああなのかな、こうなのかなと想像が膨らみました。お父さんのことや、ダワの出生、ドルジェの家のことなど気になることがたくさんありました。ダワとドルジェの間にある淡い気持ちもどうなるのか気になります。2巻が楽しみです！

注釈などが細かくあるので、時代背景などの予備知識がなくても読みやすいです最後まで楽しめました。

チベット僧侶に関してのお話は初めてだったので、興味深く読みました。絵が実はとても丁寧で繊細な感じで、物語の世界観にひきこまれました。

美しい。でもその先にある絶望感を見ると悲しいお話。チベット仏教をとことん細部まで描かれているのには脱帽。登場人物も話も綺麗ですが、歴史もきちんと描いていますので、その先にある歴史の現実を考えると、不気味で悲しい余韻が残る秀作です。

流転のテルマでこの作家さんを知りました。僧院生活をここまで描けるとは…チベット旅行に行った気分です。背景や風景も、天も空も山も美しくて、ことばや絵を超えて感じるものがありました。チベット僧のかたにお会いしたときの穏やかなたたずまいが、よみがえってきます。日本も無縁ではない時事ネタもあり、マンガという枠を超えて読んでもらいたいです。

今も中国はチベットを抑圧している。悲しい歴史の中の僧侶としての生き方が誠実に描かれていると思う。最後に2人が会う事が叶う事が出来なかったの一文字には涙を誘った。