レビュー一覧

タイトルの「鵺」をそう絡めてきたかー，なるほどね。生き抜くために嘘の仮面と鵺のように得体の知れない虚勢で寂しく泣く人間のお話。画はBLのバイオレンスものに合っていると思う。乱暴すぎず綺麗すぎず。エロ度は低い。エロを都合よく描くために設定された初期のオメガバースものは好きではないですが，最近は人間の本質的部分に焦点を当てた作品がたくさん出てきて面白いジャンルになってきたなーと思いつつ，これも視点が興味深かった。

作者さまがあとがきでおっしゃっている「オメガバースの世界でオメガバースを否定する話を描きたいと思いました」という言葉が全てだと思います。個人的にオメガバースは前提となる設定自体が現実社会の差別をグロテスクに誇張しているように感じ普段はあまり読まないのですが、これはすごくよかった…。似たような苦手意識を持っている方にもぜひ読んでほしいです。枠組みの中で生きられなかった人たちの救いの物語。ヤクザものなので少なからず流血・暴力表現はありますが、患部等まで描かれているわけではないので事前に覚悟していたよりはずっと読みやすかったです。

ご都合主義のオメガバースとは違ってそれぞれの性であることでの呪縛と運命に向き合う3人の姿に心打たれて何度も読み返してしまいます。エロは少なめですが濃厚なストーリーが素晴らしいです。出会えて良かった一冊です。

回避ジャンルこそ才能頼みの作家買い。鋭敏な知性と感性に撃ち抜かれた『春の修羅』。バイオレンスの向こう側を描ける作者なら、オメガバースの向こう側も描いてくれるはず…は期待以上でした。緻密で包括的なバース解釈に、裏社会とオメガバースの比類なき融合。｢水よりも濃い血｣を鎖にする世界で｢血よりも濃い呪い(愛)｣に、ある者は縋り、ある者は乗じ、ある者は焦がれ…互いの魂を呪縛しあい死の淵を生きながらえる。番の儀式は固めの杯。雛、比翼、鵺…の流麗さにシビれます。αもΩも虚構のヒエラルキー。等しく弱い人間の物語に酔いましょう。

何度も何度も読み返しましたー。オメガバースってこういうお話に出会えるから大好きです。三人の明日がわからないけどご飯いっぱい食べてよく寝て幸せであってほしいと願います。先生の次作も楽しみだしまだまだこの三人も見守りたいです。

新しいオメガバースです！少し無理やりな気もしますがBLなので問題ないです

絵柄がとても好きで、表紙に惹かれて購入しました。オメガバース世界線でオメガバースを否定する内容はとても面白かったです。しかし、八坂の言ってることがイマイチ理解しきれず、呪いという単語についてとても考えました。また、エロ描写がニシキ八坂、マオ八坂しか無く、マオニシキに関しては一言で終わらせてしまっていたのが勿体無いな、と思いました。バース性を否定する、と言いつつオメガ(仮)受けしかなく、3人の関係性が全く見えてきませんでした。発言や最後のうなじを噛むシーンから、もっと密に入り乱れているような関係性に思えたのですが、どうだったのでしょうか。要はマオ受けやニシキ受けの描写も見たかったなあということです。

オメガノワール！そこまでオメガもの読みこんではいないけどこんなにしっかり極道ものとオメガ設定両方を活かした漫画は私は初めてでした！仄暗い内容がさらに好みです。本当だったら単行本３冊分くらいありそうな話を一冊にまとめた感じで展開は早いです。半分読んだくらいで正直腹八分目に到達してました。でもそこから物語の急展開が始まるので余裕でいけます！後半は疾走感がすごいです。読み終わると腹十二分目。待って、一読したくらいじゃ処理しきれない。極道だから成立する三角関係ですね。良い。萌える。続編出るんでしょうか。次はマオを中心にした話が読みたい！マオにのしかかる重圧ハンパなさそう。

すごくいい。好きです。絵もキャラも話もすごく好きです。

オメガ、ベータ、アルファ全ての性が出てくるタイプのオメガバですが、それを逆手に取ったトリックのストーリー構成が秀逸です。タイトルの通り形になってないはずだけど、それぞれの想いのまま自分のあるべき姿を貫いてる。ヤクザものではあるけど大きな組でいわゆる漫画的なヤクザじゃないので静かな画面の流れ方になってます。絵が特徴的ですがすぐ読み出すと引き込まれる。