レビュー一覧

そもそも舞台設定が素晴らしい！横恋慕で恋敵をハメる肉親は転生物の定番だし、永遠の白い牢獄は乙女ゲームの「恋愛のためのスパイスになるならなんでもアリ」な世界観なら齟齬なく存在出来るので、読み手の心に設定がすんなり入って来ます。そこで描かれるのは、ヤンデレ風味なひたすら甘い日常。甘いのに、緩やかな絶望があるおかげで、不穏な空気が奥底に漂って、それがまた絶妙なさじ加減です。想い人を壊すようなハードさはないけれど、育んでいくソフトヤンデレとでも言いましょうか。甘い監禁をぜひ堪能してください。

パソコン使って、好きなように買えて家具もすぐに配置できて、邪魔になったら預けられて、なんてウラヤマシイ生活！後半はあんまりその設定は活用されてないですが。ちょっと都合が良すぎるような流れですが、みんなが幸せにまとまっていて読後感はよいです。

隔絶された世界で2人きりの穏やかな時間はよかった。が、やはりご都合すぎるのは気にはなる。スキルチートはそもそもで、友人や新しい権力者からの優遇や、作中の出来事へ証左少なめの説明はご都合が強い。スキルについてはパソコン持ちというか、ネット通販スキル・ネット検索スキルがメイン。転生前の当選宝くじから引き落としで、届くものが開封も組立も電源も不要なところが非常に羨ましい。あとは、不遇をくらった主人公が姉や婚約者への辛辣な気持ちを持つのはそうだと思うものの、なんとなく彼らへの心情が希薄というか、他人事感があって人間味が薄目な印象。

閉ざされた世界で、2人で向かう緩やかな終焉は、凄く綺麗で恐ろしいと思いました。幸せと絶望が混在する孤独な世界でも、互いの為なら選べるという、ある意味究極の愛。物語はシナリオヒロインの超スペックな働きによって、かなりスマートかつこれ以上ない程の収まりを見せましたが、もしもこの作品がソーニャ系だったら、メリバ確実ですね。気になるのは結界や牢獄、それからヒロインに与えられたパソコンの原理と、それを下さった神様らしき存在とかですね。詳細が全く分からないのでスルーしてましたが、大人の事情というやつでしょうか？凄く都合良く話が進んだ要因だと思います。出来れば続編でその辺とか、ヒロインとヒーロー家族のその後とか読んでみたかったです。

タイトルと設定が面白そうだったので購入しましたが、当たりでした！ほのぼの甘くて読んでて幸せでした。撫子にくっついてくる周防さんがかわいいな、でもかっこいい要素もあり。何度も読み返したいお話です。