レビュー一覧

このシリーズはマジで神。永遠に続いてくれ…アーメン…

英国パブリックスクールという特殊な世界を舞台に描かれる大人一歩前の青少年たちの物語。イートン校の雰囲気が大好きで3度ツアーに行ったほどのファンなので（現在はどうか分かりませんが、あの燕尾服の制服を着た在校生たちが校内の限られた場所を案内してくれるのです）スピンオフが出て嬉しいです。歴史的なカフェテリアやホール、図書館などが目に浮かびます。こちらは本編のエド＆礼が巣立って数年後の設定ですが、本編を読んでいなくても楽しめると思います。元祖小鳥愛好者（笑）エドとデミアンがちょっぴり登場してます。ただ「アジア系ゆえに学内で見下され差別される」「家庭環境に問題があって不憫で健気」と受けがテンプレなので、ああまたか…と感じてしまうのは否めません。あと表紙のスタン（攻）がすんごいワルそうなので、どんな俺様鬼畜かとヒヤヒヤしていたら案外素直でいいヤツでした。（冷たい言動はあるものの割と始めの方から愛情が見え隠れ。エドに比べりゃカワイイもんです）それからこのスタンが「学内の落ちこぼれ生徒たちをサポートする＝1回抱いてあげる」という設定はなんだかなあ…シモのサポートでなく単に水面下で勉強やアクティビティの手助けをするだけじゃいけなかったのか？寮代表として桂人を何かと気に掛けてくれるキーパーソンであるメンベラーズがスタンと肉体関係を持つ意味も良くわかりませんでした。（スタン側には弟アルバートの為という理由がありますが）スタンとアルバートのお互いに対する複雑な心情、また彼らも家庭（母親）に深刻な問題を抱えていたという設定はとても興味深かったです。

面白かったんですが、スタンとメンベラーズは寝てないほうが全体のバランスがよかったかなと思いました。あとは圭人が寮内で受けた被害が欧米基準ではレイプですよね。せっかく海外が舞台の作品を読んでるのにキャラクターが日本の価値観で動いているので非日常感が薄く、もったいないなと感じました。

今回もCPは違えど予定調和と言えばそれまでですが、シリーズ通してパブリックスクールの世界観にどっぷり浸かれるのでずっとこのまま続いて欲しいです。

メンベラーズのラスボス感と結局ケイトは踊らされてたのかと思うと長い話のわりに報われた感が少ないような気がします(まあ報われているんですが)。読んでるうちに続きが気になり結局最後まで読んでしまうんですが。パブリックスクールシリーズでたまにはアジアンで最強主人公を読んでみたいです。どの作品もアジアンは差別の対象となっていますが、そんなイギリス貴族社会に引けを取らないアジアンをみてみたいです。

ネタバレ無しで読んだ方が面白い作品だと思うので、意外な展開がお好きな方は、読まないで下さいm(_ _)m。パブリックスクールは1巻しか読んでなかったので、購入するか迷ったのですが、前作を読んでなくても内容把握可能だと聞いたので購入してみました。面白かったです。皆んな可哀想で、涙があふれてきます。可哀想な不憫受けを書かせたら、樋口美沙緒さんの右に出る人は居ないんじゃないかな…w。面白かったので、星5つ付けても良かったのですが、気になる所が何ヶ所かあったので星1つマイナス。まず、攻めキャラが表紙のイメージとはちょっと違っていた。大人っぽい、ゲス.クズ.ヤリチンキャラかと思ったら、意外と良い人だった。ギャップがあって良かったような気もしましたが、何か違う感…も感じてしまいました。メンベラーズがスタンと性的関係を持つ必要性があまり無いようにも感じたし、メンベラーズ、アルバートのキャラが立っていて、スタンの存在感がちょっと薄く感じました。私は後半、アルバートのコトが好きになってしまったので、結局良い人なら、桂人やセシルがレイプされそうな時は助けて欲しかったな…と…。急に魅力的なキャラになるんだもん、意地悪しつつもいざと言う時は助けるアルバートが良かったな…。 メンベラーズとくっついても、アルバートとくっついても良かったな…と思ってしまったので、攻めキャラ.スタンをもうちょっと魅力的に書いてもらったらな…と感じてしまいました。

前作のシリーズよりも、こちらの方に嵌まりました! 超人的なエドや浮世離れした礼には作為的な違和感を拭え無かったけど…、本作品ではそれぞれの苦悩や葛藤が緻密な描写でリアルに感じられました。愛について自問自答しながら成長していく桂人でしたが、感情移入しながら考察し…久々に頭使って読まされました。不遇な幼少期の不憫な子供のお話には弱く彼もまた痛々し過ぎたけど、根底にある真っ直ぐな優しさと甘えの無い強さに共感しました。番外編のメンベラーズの方も良かったです。いじけたスタンが可愛いかったけど、こちらでも愛について普遍的な願いが語られていて感じ入りました。出来れば是非是非、苦悩するスタン視点の本作が読みたいです！

「パブリックスクール」の世界に酔いしれました。樋口先生の作品ではそれぞれのキャラクター達は、愛とは？と問い続け探し続けている普遍的なテーマとなっていますが、今回も期待に違わず少年たちのささやかな、かつ壮大な物語になっていると思います。今までの作品でも親子関係に歪みがありましたが、今回は感情の行き違いなどではなく、シビアなもので心が痛みました。女として、母となり子供を持つに当たって、自分の心の弱さが我が子を傷つけることのないよう肝に銘じなくては、と思わされます。

うーーーん。主人公が勿体なかったです。今までにない受けで凄く魅力的。頭が良くて狡猾で、貧困に育ったサバイバル精神もあり逞しい。序盤はワクワクしながら読みました。が、愛。愛ですよ。また始まりました。愛されない、愛せない、愛さえあれば、愛していたのに。完全に愛が闇ワードと化してます。この独りよがりな一人語りがとにかく長い。辟易しました。これのせいで、物語全体が稚拙になってしまった気がします。アルバートの痴呆が一転いきなり物分かりの良い人に化けるのも納得いかなかったし、愛語りをやめて、、他の人物の変化を丁寧にして欲しかった作品です。でも、エドとレイの馴れ初め編よりはこちらの方が好みでした。さて、続編も読みます。期待。

パブリックスクール本家のエド達とは違うカップリングですが、こっちの方が好きです。受けも攻めも愛を求めてもがき苦しむけど、お互いが足りないものを補おうとするのが読んでいて心を締め付けます。