レビュー一覧

昭和的というか韓ドラみたいというか…とてもドラマティックなジェットコースター展開で読み応えがありました。硬質な医師界を舞台に華藤えれなさんの耽美な文体が彩りを添えています。上巻ではNY帰りの天才的外科医樋口と主人公水斗の出逢い。水斗は医学生の時に天涯孤独となり、同じ医師だった父の古い友人長山の援助を受け有能な外科医となったのですが、その見返りに愛人として身体を弄ばれ彼等の名前のもと研究論文等を全て搾取されているという、人間としての尊厳を踏みにじられた状態で虚しい日々を過ごしています。その奴隷のような生活から抜け出そうと足掻いている水斗と樋口は、互いに惹かれあい水斗も長山の支配から逃れられるかに思えたのですが一転…水斗の目論見は長山によって潰され、しかも長山に陵辱されているところを樋口に見られてしまう！絶望した水斗は「自分は教授の愛人で、あなたの論文を手に入れる目的で近づいたのだ」と偽りの告白と共に自殺を図ります。ここのシーンは映像で見たくなるほど、本当にドラマティックで印象的でした。 水斗は一命を取り留めたものの記憶を失い幼児退行、それから樋口がまるで父親のように「子育て」するのですが上下巻という中で幼児状態(でも身体は大人で邪気のない分タチが悪い！樋口が「勘弁してくれ」「俺を獣にしないでくれ」とムラムラ苦悩するのが気の毒…)での二人の生活が丁寧に描かれています。最初は戸惑いアタフタしていた樋口が、だんだんと良いお父さんぶり(？)を発揮していくのも読んでいて楽しい。下巻では水斗が自分の過去と向き合い記憶と共に自分を取り戻していくのですが、ヒールだった長山もなぜ水斗に執着していたのか複雑な心情が明らかにされ人間としての弱さが露呈され、このストーリーをより深くしていました。上下巻、書き下ろしの「幸福の領域」も含めて一気に読むことをお勧めします。

胸が苦しくなりました。最初は医療用語のところは読み進めづらく失敗したかなと思ったけど、だんだん引き込まれました。思いもかけないような展開があったり、もうハラハラドキドキなんでそーなるか！！とやきもきしたてんかいだったけど、最終的にはよかったです。

思った以上に切ないスト―リーで惹き込まれます。

幼児化した水斗があひるさんで遊んでたりして、かわいらしいです。幼児化の時は親子BLみたいな感じで新たなトキメキが芽生えました。水斗が最後は元に戻って良かったです。

二人が大学病院で出会ってから１年半の話です。但し彼らの過去もあり特に桐島の不遇と終焉を希望した行為には胸が痛いです。短い期間に沢山の要素が詰まって展開も飽きさせませんストーリー重視で☆５。

待望の電子化…ありがとうございます！もう５年以上前に先にドラマCDを聞いて大好きになったお話。こういう、闇を抱えながらもそれを外に出さずに全て背負いこんじゃう健気な受けにとことん弱いんです…。そんな受けに振り回されながらも、この人なら絶対大丈夫、的な包容力に満ちた攻！そして何より美しいイラスト！音声だけだとどうしても想像で補いきれなかった水斗があーしてこうなった時の表情とか（変な意味ではない）が補完され、やっと腑に落ちた感じ。さらに下巻に期待していた、二人の後日譚…！確かドラマCDにはなかったような。あったらすみません。これが二人の幸せの形なのね…（ホロリ）と、お腹いっぱい楽しませていただきました。

シリアスな展開ですごく良かったです。幼児退行ってなかなかないストーリーにも惹かれました。もっとこの2人を読んでいたい、そんなお話でした。

医師×医師。受けの水斗が恩を盾に教授と爛れた関係を強要されている。そんな自分をウィルスに侵された汚れた存在だと思っている…悲しい。そこで出会った攻め樋口は汚れた自分をきれいにしてくれる、「私が死んだら、あなたが解剖して」と。教授との関係を樋口に見られて、自殺を図ったところ泣きました。苦しかった…その後の樋口は包容力半端ない攻め様。自殺未遂の後遺症で記憶喪失、幼児退行した水斗に最初戸惑いながらも、決して見離さず最後まで愛で守ってました。素敵… 私の中で最大の萌ポイント。幼児退行して無邪気に懐いてくる水斗に「おれを獣にしないでくれ…」。お父さんの様に「サンタさんが迷子にならないか心配しているのか？」。良かった…

切ないですね。恩と恋情の狭間で苦しむところがよくわかって良かったです。

上下一気に読みました。うーん面白い！医学用語が多く、病院局内の人間関係や手術の様子など具体的でお仕事BLとしても完成度高いです。受けが記憶を失い精神年齢が幼くなってしまった時、攻めがひたすら守り支える姿が健気でもう・・。受けが自我を取り戻して結ばれたシーンは今まであった苦難が全て吹き飛んで心から祝福出来ました。