レビュー一覧

大竹直子さんは近代史がお好きなのか、時代背景や風景、また登場人物たちの言葉使いなどに作者の拘りを感じました。表題作と最後の作品は切ないストーリーでしたけど、「青蝉」～「患者Ｈ」に関しましては、少々ディープでマニアックなＨシーンが（まるで、お医者さんごっこを観ているようで）面白くもあり官能的でもありました。個性的な絵をしているので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、個人的には、どの登場人物も男らしく描かれているのは良かったと思います。ただ、、眼鏡をかけた登場人物の眼鏡を外したときの瞳が少々乙女らしく見えてしまって気になってしまいましたけど、、しかし、それ以外は、人物も背景も丁寧に描かれていると思います。

未来がないことのみをもってアンハッピーエンドとは言えないんじゃないか？と思いました｡基本的にはハッピーエンドしか読みたくない人間なのですが、この作品集は楽しめて読めました｡特に表題作が良かったです｡

BLのお約束がハッピーエンドなら、この作品集はJUNEの流れを組む正統派耽美マンガです。この世では決して結ばれることのない二人の恋に酔いしれ切ない読後感を味わいたい方必読です。

表題作受けの桐島くんが際立っておりました。不遇な生い立ちと境遇をストイックなまでにファシズムに傾倒することで目を反らしてる感じです。なんとも切なく感じました。古風な画風と話も合っていると思います。他に二つ主だった話がありますが、源平の戦いの話も好きでした。敵とわかっていながら惹かれてしまう...これまた切ない感じです。作者さんは自身の世界観を創るのがとても上手な方なのだと思います。ただエロにもう少し色気があったら...と思ったので☆4で。

大竹さんの作品はこれが最初です。まず設定ですがこの時代の180㎝超えって、それだけでとんでもなく目立つと思うのでちょっと…実際にその身長の第二次世界大戦参戦者を知っているだけに(笑)高橋は桐島が自分をどれだけ愛し、あんな抱き方を赦してくれたか知らず、桐島は高橋がずっと愛し続けていたことを知らず。この時代の男の愛し方としてはむしろ普通かもしれません。互いに互いが思っている以上に大きい重い存在だったのに、逢うことも会話を重ねることもなく。ただ、桐島は毎日毎晩、高橋の軍刀と一緒にいたわけで、それを考えると分からなくもない。226に参加して死ぬか、病で死ぬか。その2択でも結果は死ですが、226に参加出来なくなった時点で、病で痩せさらばえて死ぬか、高橋の軍刀で身を貫いて死ぬか、の2択なら当然の結果でしょう。高橋もそこは納得せざるを得なかったのでは。私が悔やまれるのは、最後のただ一度の2人の体の繋がりが、あの凌辱の直後だったこと。桐島はあれが最後になったのは残念だっただろうな、と哀しくなります。2人きりの時間をせめてもう一度だけあげたかった。桐島の子供時代の話は、あの過去の上に桐島という軍人ができたんだなぁ、という感じ。自分との闘いを、国を護る闘いに昇華させたのでしょう。彼の精神力に身体がついていけなかったのが悲劇の源でした。

「しのぶれど」入荷を機に久しぶりに読みました。高橋×桐島は悲恋です。全体的には中身はあるようでいてあまりない。近代、戦前戦後、歴史モノで、耽美で悲恋、そしてエロ。実在の人物についてはちょっと首を傾げるところもあるので、完全創作として見た方がいいのかな。全体的にちょっと悪趣味(？)なところもあり、読み手を選びそうです。

表紙のカプ話は呆気ない感じ。でも、他の単話のバランスが良い。皆も書いていますが、JUNEを思い出しました。まさに、耽美な世界へようこそ。

昔、清純派？皇なつきさん（歴史漫画家？）の美麗なイラストのファンであった私には、なんだか受け入れ難いものがありました…精巧に似せて描かれてはいます（語弊です。どちらが先かは知りません）が、激しい感情が露呈した時のキャラクターの顔が破綻。ストーリーの面白さが全くなくはないのですが、、、何だろう、真面目なんだかギャグなんだか。

サンプルを読んで絵が好みだったのと、時代物に惹かれてレンタルしましたが、ストーリーの時代設定上、仕方がないのかもしれませんが、悲しい結末だったので、ハッピーエンドであって欲しいと思ってしまう私的には★３つです。

時代考証もしっかりとされていて、服装文化も把握していて、作者さんの熱意がすごいのですが、なんと言っても軍服萌え！です。加えて当時の純情の気持ちの言い回しとか、現代では考えられないウブな感じが良いんですよね。クゥーって感じです。直接的なエロは少しですが、作品全体から滲み出るエロはポイント高いと思います！ この時代が気にいるかどうか、お考えになってから購入をオススメします。