レビュー一覧

ミステリーっぽい要素ありで面白いんだけど、3冊にするほどかなぁって思うくらい回りくどい気もしました。とくに2巻目は中だるみっていうか…2人のバックグラウンドを語る上では必須だったのかもしれませんが、もう少しサクサク進めても良かったんじゃないかと思います。なのでマイナス1で。

3冊すべてが細部まで切なさに満ちています。余計なシーンはひとつもなくて、ご都合主義なところもなくて、主要人物誰もが痛みを抱えていて正直ものすごく辛かった。中上くんの目線に立ったらもう辛すぎて同時にものすごく愛しい。彼の三冊目の慟哭のようなあのシーンは泣けて泣けてたまりませんでした。腫れ物に触れるような関係でなくお互いの正直な気持ちを吐露することができて読み手としても心が浄化されました。久遠さんのしたことは悪いことだけれど、彼もどうか幸せになってほしいな。

続きが気になります！Mはやはりマスターなの？？だいたいあのすぐ忘れる体質、薬で少しよくしたりできないの？と、かなりキャラクターに心持っていかれました。

記憶喪失の主人公と優しいヒーローとの心温まる交流、記憶が戻って、あれは君だったのか…なんて、ど定番を想像していたら思いもよらない展開で、のめり込みました。もう続きが気になって仕方がないです。こんなところで続くなんてっ！ 1年連載で完結済みとのこと、すぐに続き出てくれますよね？ こんなに引き込まれたサスペンス系は久々です。そしてキーマン佐藤くんの書き下ろしが、テイスト違いすぎて面白かったです。

作品全体としては文句なしに面白かったです。ただ、Mが誰なのか察しは付いててもどうしてそんなことになっているのかに引っ張られて読んでいるので、2巻は長々とお預けを食らっている気分でした。過去の経緯や絆の描写は物語の奥行きに必要なことはわかりますが、緊張感とコストの点で3冊という分量がどうなんだろうと疑問に感じたので星マイナス1としました。

好きな作家さんですが紙書籍の時に続き物なので保留にし、完結した後は電子書籍で揃うまで待ち…念願の一気読みです。数年毎に記憶障害で過去を失ってしまう主人公。序盤では記憶の手掛かりの為にと書かれた日記の“M”を探すミステリー風ですがすぐに予想がつきます。当然結末もなんですが、過去を忘れたくない真文と辛い記憶も忘れられない衛の絆の強さが３巻通して綴られています。ハッピーエンドだろうと思っていても、いつかまた必ず記憶を失う日が来るのを２人も読者も分かっているので最後まで気が抜けません。タイトルで締めくくるラストが素晴らしく、何度忘れても衛に惹かれる真文の気持ちそのものだと思いました。

もう、何度「衛！真実を伝えるんだ！」と心中で叫んだことか・・・。最後は衛の元へ戻れるだろうと信じてはいたけれど、じれったくてハラハラして憤って切なくなって・・・つまり大変ヨカッタです。

1巻から続きが気になって気になって、書籍版を買おうか迷ったくらい(海外在住ですが)、とても心を動かされた作品です。主人公二人の間に流れる空気と言うか、時間というか。ともかく切なくて切なくて、もうその一言です。ある一定の期間を区切りに記憶をなくす真史さんと、辛い過去を持ち、でも真史さんとの出会いで変わっていった衛。どんなに忘れても、忘れられても変わらない愛。忘れてしまっても、もうDNAに刻み付けられたかのように惹かれてしまう真史さん。何度も忘れられて、衛はどんなに苦しいんだのだろう？ちょっとした真史さんの言葉で、きっと傷ついてるだろうにおくびにも出さない衛の気持ちや、何度も好きになって、でも記憶が戻るわけでも気持ちが上手く伝えられず苦しむ真史さんの姿に、何回も涙しながら読みました。BLとか関係ない程良かったです。でも男同士だから結婚も出来ないし、余計ハードルが高いのでしょうね。素敵な作品、ありがとうございました。

全３巻です。レビューは最終巻のときに書こうかとも思いましたが、１巻目でも十分に惹き込まれ次巻も買いたくなったので☆５で。Mが誰かということより、細かくちりばめられている伏線がどのように回収されていくか、どうして「M」表記なのかがポイントだと思います。

再読したくなる一冊、イヤ三冊に出合ったと思います。年齢によって、4年とは長くも短くも感じられる。あの坂の上にある洋館の喫茶カナリーがある限り、これからも続く記憶障害が起こっても二人は大丈夫な気がします。そして私も行ってみたいです。イケメンマスターに会いに(笑)