ヒーローは優秀なボディガードなのにとても穏やかな印象を受ける好青年でした。ヒロインも苦労した生い立ちのせいか周りを気遣える優しさと強さを併せ持った人物でとても魅力的です。特殊な状況下で惹かれあうのは自然でした。気持ちが盛り上がっているのに冷静さを失わないプロとしてのヒーローもカッコ良かったです。お話はサスペンスベースで進むので、ロマンスの割合が低く甘い場面が少なめに感じたのが少し残念でしたが、傷ついたヒロインが心の安息地を見つけられて本当に良かったと思いました。スリルやハラハラドキドキ感を求める気分の時にピッタリのお話でした。

怪しげな犯人候補がちらほらいて、本命は誰？と思っていたら、こうきたか！というラスト。ちょっぴり力技すぎない！？と思わなくもないけれど、全体を通しておもしろかったです。大スターなのに偉ぶらず、気遣いのできる優しいヒロインと、斜めに構えたり浮ついたところもなく、ひたすら好印象のデキるヒーロー。良い子ちゃんカップルで、優等生なところがインパクトに欠けて逆に残念かも。事件がメインで甘さは少ないですが、ニューオーリンズの描写やお料理が美味しそうで、楽しめました。

ボディガードもの、と聞いて楽しみに購入しました。文章はとても読みやすいのですが、主人公とそれを守るボディガードに魅力を感じず、二人が惹かれた理由もよくわからないまま話がすすんだ印象です。過去に影を持つ主人公の設定は興味深かったので購入したのですが、そこだけがこの小説の特別なところでした。一番残念だったのは最後。主人公を狙うのは誰か、という謎が解ける物語の肝が、全く説得力がなく、そうしたら面白そうだからそうした、というような予定調和に沿った流れで、最後まで読んだ自分を恨みたくなったほどです。せめて、謎がとけてから読み返して、ああそういうことかと納得できる伏線が張られていれば面白いのにそれもなし。小説として成り立っていない気がします。ニューオーリンズの料理の描写だけは楽しめたので星２つです。