レビュー一覧

これ昭和の話なのかなあ？何が無くても先ず結婚！結婚すればあとは何でもいいといった時代に生きた女性は気の毒だと思いました。

表面には出さなくても多くの人が持っていると思われる葛藤を描いた作品です。主人公の葛藤と気づき、プライドを取り戻す様にほっとするものを感じました。

ウエディングドレスを縫えるなんてすごい技術を持ちながら、徳子のあの卑屈さ、自分を可哀想がっていては出会いなんて無いですよ。

池田先生のお描きになったウエディングドレスのディテールの凄さに圧倒されながら、あの時代の女性の息苦しさを観たように思いました。

いい作品でした。短篇小説のような雰囲気で、一気に読めました。シリアスで、安易なハッピーエンドでなかった所も池田先生らしい作品だなと思いました。

感情を持って生きていれば、誰にだって『葛藤』はある。それは『人生の経験者』にも言える事。大切なのは、焦らずに、「自分は何になりたいのか」「今の自分に何ができるだろう」「大切なのは何か」を丁寧に洗い直す事ではないでしょうか。

この作品はおそらく昭和が舞台で、アラサー未婚女性がとっても居心地良くない時代のお話ですね。主人公さん、とても仕事ができて性格も悪くないけど、世間の目を気にしすぎなのか、言葉は乱暴、自虐的な態度と、痛々しいです。色々あるも、ラストは自分のキャリアに自信を持って、笑顔で進んでいく姿にほっとしました。

短編ながら主人公の心の動きがまんべんなく織り込まれていて面白い作品でした。さすが、池田理代子さんだなぁと納得です。「結婚がすべて、一番の幸せ」と信じられていた時代背景があるので、ずいぶん前の作品だとおもいます。今はいろいろな価値観、個性的な考え方があるので、そこらへんではちょっとズレがあるかもしれませんが。最後に主人公が自分にとってなにが一番大切なのか気が付いたことでほっとしました。