レビュー一覧

上司や同僚にいそうな、隣にいそうな男たちの、ほのかだったり熾烈だったりする恋が描かれた短編集です。西田東さんの作品は、ともすれば大仰なテーマや愛を謳い上げることもできる題材が、単純な(でもすてきな)絵と軽いテンポで日常との一コマとして描かれています。安定感があっていい加減でかわいいのに、どこか素っ気ない。そんなどうってことない男が、恋しただけでどうってことなくない特別な顔を見せてくる。クラっとします。とてもすてきな作品なのにレビューが少なくて危うく見逃していた作者さんでしたが、見つけられてうれしいです。なので、このレビューを見て他の方にも是非見つけて読んでもらいたいなと思って書いています。

短編集でした。全部で８本入っていて、全部が違うカップルのものです。２００ページ強で８本なので、それぞれがとても短いです。学生カップルは１組だけで、あとは全部社会人です。絵は「好き嫌いがある。」というかそんなにお上手ではないような気がします（ゴメンナサイ）。美形もそうでない人もほぼ同じ顔だったりして、「きれいな顔」とセリフで書いてあって初めて「あ、美形キャラなのね」と思います。おはなしは上手です。短い話なのに、いいエピソードやいいセリフがあります。総合的に見て、社会人萌え、おやじ萌えがある人には強くお勧めできます。それ以外の人には、そんなにお勧めできません。

久しぶりの再読。私のBL歴は西田さんと共にあったというほど、昔は西田さんを愛読してました。いやいや、初のBL本ということですが、ホント絵がかわりましたね。昔はこういう絵だったよなあ、と感慨深いです。かつてはどっからみてもBLではなく完全にメンズラブだった西田さんですが、最近はキラキラした男の人が登場したりして逆にびっくり。短編集ですが、すべてストーリーはしっかりしています。「天国も地獄も」とか、「天使のうた」とかの長編に繋がったんだなあと思わせるような設定の短編もあり興味深いです。あと、珍しく高校生同士とかもあります。ただ、いわゆるファンタジーのBLが好きな方は楽しめないかもしれませんのでご注意を。

表題作「奪う男」と「課長になったら」が個人的に名作。リーマンロマン溢れる短編集。個性的な絵柄なので好き嫌いがあるとは思いますが、気になった方はぜ是非一読をおすすめ致します。それにしても32Pのアクロバティックなベッドシーンは実際に可能なのでしょうか。持ち上げてる？？

男同士だけれども、ありえなさげなファンタジーというよりはしっかりと地に足の着いた人間の恋愛ドラマが大変上手な作家さんです。読めば読むほど味が出るタイプの作風。逆に一見して萌え！というような華やかな絵柄ではありません。表紙の地味なこと笑。　学生ものもありますが、全体的にリーマンがめいいっぱい詰まった名著です。

たくさんの短編詰め合わせで、いろいろなサラリーマンのお話が入っています。絵がこれまた古くて、時に崩れまくってるなあ～って思うシーンもありますが、まあそこはご愛敬。私は表題作である「奪う男」が１番好き。好きな人が手に入らない苦しみが時に切なく時に無様に描かれていて、読んでいて胸にグッと迫ってきました。

正直、絵は私の好みとは言い難いのですが、力量のある素晴らしい作家様の１人だと感じます。お話しは一冊の中に８つもあって、短編の収録と言えるとおもいますが、何故かそれを感じさせない作品ばかりです。時々、他の作家様の短編集を「話がみじかすきる」とか「ショートだから駆け足感は仕方ないか」等々の批評を目にしますが、この作家様にはこの批評は全くあてはまりません。それぞれの素直にスゴいと思います。

作者の投稿作が載ってます!作家デビュー後初期の作品集です。最初からこのテンションだったのかーと、なんとなく感心しました。絵柄や作風が変わっていくのが大半の作家さんだと思うけれど、西田東さんはいっかんしているんだなーと。これをワンパターンと言うのか、持ち味と呼べばいいのか。普通のサラリーマンが悩んだり恋したり、時にはヤクザも出たり。コミカルな描写も忘れずに。新刊が出たら何故かつい読んでしまう。西田東ワールドな一冊です。

こんなに読み応えのある短編集はなかなか無いと思います。勿論作者買いで、時間を作ってゆっくり読みました。物凄く短い短編がいくつも入っているのに、どれも中編を読んだような満足感。流石としか言いようがありません。

いいですよね。これ。すごく短い話がたくさんあるんですが、どれもすれ違っているものの両想いで、それぞれの立場はあれど、まあハッピーに終わっていて。独特な絵柄ですが、平気だったら読んでみる甲斐はあります。