レビュー一覧

作者買いです。汐宮さんのヒーローと言えば黒髪のちょっと気難しい人が思い浮かびますが、今作では明るく人好きのする、ブロンドのハンサムな男性がヒーローです。いたずら好きでちゃらんぽらんな彼が、四角四面で真面目一辺倒なヒロインの癇に障ることを何度も懲りずに繰り返しつつ、彼女の心をしっかりと捉えていく、上質な大人のラブコメディでした。何でも計画を立ててその通りにキッチリと運ばないと気が済まないヒロインには、ハプニングを必要以上に恐れる理由があり、一見飄々とした根っからの自由人のヒーローも、実は大きな挫折と心の傷を抱えて、地道に乗り越えて来た人であるのが次第に明らかになるストーリーには、リアリティと共に、人間に対する洞察と真理が含まれていると思います。理想通りに運ばないのが人生で、しかも理想が自分にとって本当に幸せを齎す正解であるとは限りません。そのことに気付いた時に、一緒に居たいのは誰か、一緒に冒険出来るのは誰なのか、物語はヒロインと読者に問い掛けます。ハッピーエンドがお約束のハーレとは言え、安易なミラクルに逃げずに、どう決着をつけるのか最後まで判らなかったのも、この作品に読み応えを与えています。疲れた背中をそっと包んでくれるようなお話に、汐宮さんの細やかな感情を伝えるビジュアル表現が活かされた、良質の作品です。

ページ数の都合なのか原作からヒーロー兄ハリーとその家族の出番がカットされています。コミック版は原作でのハリーの子供たちに当たる役回りを近所の子たちにしたり、最後にヒーローが利用するコネもヒーロー祖母のものにしたりしています。他にもコミック版はヒーロー両親とヒーローの和解話がなくなっていたり原作とエピソード順が違っていたり、と改変が結構ありますが、携帯着信音のいたずらとか原作の面白かった話はほぼほぼ入っています。話の方はお金持ち一家の人間同士のカップル、というあたりはハーレクインだよなあ(苦笑)と思いましたが、二人とも地に足が着いた人たちなのでどちらにも好感は持てました。原作を読んだときにも思ったのですが、今作のように最後にヒーローがヒロインに合わせてくれる話ってハーレクインでも意外とないですよねえ。ヒロインが夢をあきらめてハッピーエンド、というハーレクイン話にモヤッとさせられることが結構あるだけに今作終盤の展開はホッとできました。それにしてもヒーローが一族から追放された経緯ですが、今の日本では結構タイムリーな話ですよね(苦笑)。

ヒロインは自立した女性です。だからなのか…ヒロイン妹が幼く見えました。　ヒーローが丸ごとヒロインを包んでいるのが良かったです。

作者買い。温かく、いつでも、どんな時でも受け入れてくれる、そんな家族が理想ですよね。でも、現実には、家族だからこそ、こじれたり、許せなかったり。この作品は、家族がテーマだと思いました。

このページ数なのに、しっかり話がまとまっているなーと感じます。もっと長いお話を読んでいるみたい。物足りなさを感じなくて満足です。ヒーローとだけでなく、妹や父との話もよかった。頑固な似た者親子に好感がもてました。妹ちゃんも婚約者との別れを乗り越えて大人になれましたね～。ヒロインが、根は優しくて良い子だ、って言ってたのが良く分かりました。

このヒーロー穏やかすぎで？あんまり押せ押せでもないし､幸薄めで地味目なヒロイン(腹違いの妹と比べるとネ)としてはそうそう素直にはなれませんよね。静かにゆっくりとヒーローにひかれていくところは､じれったくもありまた萌え処ですかね。良かったと思うのですが､最初､ヒーローとヒロインの関係がなんかスッと判らずにもやっとしたので★1つ分マイナス。

作品紹介を読んでサンプルも読んでいましたが、レンタルまでは行かないままでした。ふと先が読みたくなりレンタルして先をよんだらこれが結構面白いじゃないですか！一気に読んでしまいました。

築き上げてきた生活やキャリアを、彼女が大切にするのは当然のこと。彼女を欲しいなら彼が歩み寄るのは当然です。

汐宮さん買いです。さすが力量のある漫画家さん、良い仕上がりですよね。星三つなのは、原作プロットの個人的な好みの問題です。ヒーローとヒロインは文句なしのにハピエンで良かったのですが、ヒーローの実家族が酷すぎて……唯一の味方の祖母もクズ家族を一喝してくれるわけでも無く、救いが無い。　そして、過去の事とはいえヒロイン父が嫌｡ ヒロイン異母妹の母と結婚したいからとヒロイン母を捨てたって下りがね…愛が冷めた・心変わりしたってのは仕方がないけれど、それでも誠実に向き合って、ヒロイン母の人生を壊さずに別れる事はできなかったのかなぁ、とそんなことが気になってハッピーになりきれなかったノデスヨ｡

重くなる話をヒロインの携帯にイタズラするヒーローのおちゃらけで、軽くしています。良作ですので、是非読んで、笑ってください。