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穏やかな物語でした。アメリカでもっとも理想的な独身男性として崇められているヒーローと、田舎町に住む家庭の事情で高校を中退し美容師になったヒロイン（性格が可愛い！）。全く接点のない２人が、ヒーローの現実逃避で出会うこととなります。ヒーローは身分を偽り暮らしていくうちに隣人であるヒロインに恋をし、恋人に裏切られたヒロインはヒーローの優しさに癒されます。この手のパターンはハーレクインではよくあるので、終盤ヒーローがあの理想の男性だったとわかった後のエピソードが鍵となります。嫌味な登場人物はいないし、ヒロインもひねくれていないので、ヒーローの嘘は簡単に許されます。最後の盛り上がり場面も洒落ていて、読後の気分も爽快でした。ただ、ヒロインに現在進行形の恋人がいるっていうのがマイナスポイントでした（本人は休憩中と言っていたけど）。

ライトコメディっぽくて、おもしろかった！雑誌の理想の結婚相手に選ばれたヒーローが、女性に追われる不自由な生活から逃れるために、違う自分になって隠れます。ヒーローは自分の中身をみて好きになって欲しい、って言いますが、その自信はどこから？変身前のヒーローなんて、何不自由ない生活を満喫している薄っぺらい傲慢セレブですよ。ヒロインなんて見向きもしないで切り捨てるはず。変装して自力で生活して、ヒロインと過ごしながら良い方向に変わっていくので、ある意味ヒーローの成長物語かも。ヒーロー視点も多いので、心情の変化やヒロインに対するヘタレ具合もわかりやすいです。残念なのが、ラスト。頑な過ぎるヒロインにちょっと引き気味でしたが、あっさり解決。えっ！？ヒロインはその言葉が欲しかったの？

文章で読むと、ヒロインのディーンへの深い愛が感じられて、ダレンに戻ったヒーローと本当にうまくいくのか心配になるほどでした。来たのがダレンなのに、ついおんぼろ車を探してしまう場面は、喪失感がありました。二人の階級差も歴然とわかって、それも心配でした。本当に、大丈夫かなあ…。

コミカルで楽しかったです。文章もー原書を読んでないので、はっきり判断出来ませんがー好きです。ストーリーについて、ちょっと好きでなかったのは、ダレンの嘘を知って、ケイトは激しく怒ったまま、手紙さえ受け取らず、頑なだったこと。そして、ダレンが会いに来たわずか2日目に、プロポーズを受け入れる飛躍。短気という設定から仕方ないかもしれないけれど、それ以前の彼女には、それほど短期な行動もなかったのに。終盤がもう少し共感しやすい内容だったら星５つにしたでしょう。

ＳＥ的な人って、どこの国でも共通な風貌・性質なのだろうか。ヒーローが一緒に働いた人たちも含めてオタク的な人の描写が上手でした。アイリッシュ系の赤い髪にエメラルドグリーンの瞳を持つというヒロインの住む世界が魅力的に描かれています。アメリカの庶民の感じと上流階級の感じ・・その生活感の空気感の違いなんかもおもしろかったです。生活の香りが伝わってくるような・・描写を上手に描く作家さんだと思います！

漫画も借りておもしろくて、こちらも借りました。ヒロインのケイトと大企業副社長が悪趣味な服装と眼鏡をかけたコンピュータナニアに変装したダレンが自分の中身だけに恋をしてもらえるかのかけひきに出たお話がおもしろくて何度も読んでしまった。

お勧めです。ストーリーはシンプルにテンポよく進み、起承転結がハッキリしていて読みやすい。登場人物も全員キャラがハッキリしていながらも現実離れしているわけでもなく、皆人間らしく魅力的です。会話もコミカルで軽く、読みながらクスクス笑ってしまうセンスのよさと楽しさ。家庭の経済状態のため、高校中退して美容師という設定も個人的に「ありそう」な雰囲気で好きです。ヒーローも広告代理店(？)の花形副社長で社長ジュニア、華やかなマーケティング男だと思ったら、実は普通の感覚も持てるPCギークかつ天使のパンツ。キュン死です。こんな男性がいたらブラジャー投げつけて求婚するわ。と、読めば分かりますが、「うんうん。」と頷きながら、にやにや読めます。少なくとも私はクスクスにやにや笑ったり、頷きながら読みました。