レビュー一覧

叙事詩的ファンタジーでしょうか？景色が眼に浮かぶ文書で私は好きです。攻めは優しくて受けは健気に頑張る王道路線です。もう一波乱くらいあっても良かったかも？と思いますが、このボリュームならもう一つは無理…かな？

設定は素敵です、外界に慣れない可憐な妖精のようなオルティシアと、異国の力強く優しい為政者の恋。華やかなフィオーレの描写に限らず、色彩や質感が豊かで美しいです。ただ恋というには庇護要素が強くて広がりがないからか、ちょっともたつきを感じます。

アルティシィアの成長を軸にジンとの恋愛模様が描かれています。嫌なライバルも出ず、多少の政治的要素が絡みますが、それもあっさりと解決されます。表紙の絵からジンが優しくアルティシィアの成長を見守るところが想像できて、全体的にとても優しいお話しで良かったです。

攻めのジン様が徹底的に受けを甘やかすのだけど、それが一方的過ぎて全く相手の気持ちを汲んでないところがお見事です。勿論スパダリジン様がですので、素直に受け入れますが。それにつけてもオルテシア様のウジウジぶりには感嘆します。その分、吹っ切れたときのやらかしっぷりも半端ないですが。ほとんど５才児童の一人で出来るもん状態です。それはまずいだろうってことも、スパダリのお陰で大団円だけど。オルテシアさんの成長物語としても楽しめます。脇を締めたツイーンの物語を読んでみたいかな。

この作家さんのファンタジーは好きなのですが、万事上手く行き過ぎてちょっと物足りなかったかな。世界観とか、フィオーレの設定とか、発想がステキなのに勿体ない!! と思いました。もしかしたら同人誌の方で広がりが出るのかも知れませんが……。深窓の令嬢ばりの受はなかなか頑張りましたが、攻はひたすら優しいだけで。。。もうひとひねりが欲しかったです。