レビュー一覧

懐かしい！昭和がよみがえるようでした。ベルばら以前の池田作品は水野英子、西谷祥子といった女子のための漫画家からの影響を色濃く感じさせます。この時代を経て今のマンガ文化があることを再確認。古くさい、絵がこなれていない等の感想もあるようですが、マンガの辿ってきた時間の流れを考えると、尊敬こそすれ否定的な気持ちにはなれないと思います。いわゆる古典から近代の文学作品や美術作品を古くさいと切り捨てないのに、なぜマンガだと否定的になるのでしょう。それこそマンガが文化だと思ってないんじゃないかなあ。古いものを笑うのではなく、温故知新の精神を持って読んでほしいと心から思います。それにまだ大学生くらいだった池田理代子さんが描いたことを考えるとさすがだなあと脱帽です(脱帽ってのも死語ですね…)。身近な設定で他人にモノを読ませるって難しいですよ。仮想のものすごい世界ではないささやかだけど誰もが共感できるところがある生活感っていうか。嫉妬とか、あこがれとか、そんなのがちりばめられています。

表紙は後で描かれたものだと思います。池田先生の初期の作品です。絵も古臭いし、全盛期の作品に比べると下手です。ストーリーも女の子が太もも見られてパニクったり、800M走るのが大変とかちょっと年代ものです。

ありきたりな青春の一コマのはずなんだけれど、ロマンチックな理代子ワールドとして描いてしまえるのが、池田理代子先生の魅力だと思います。