レビュー一覧

３部作３作品目 三男のお話。２作品目で祖父が亡くなり、遺言でヒロインと結婚しろと言われてしまったヒーロー。最初は便宜結婚から始まる二人ですが、ヒロインはヒーローの魅力にメロメロです。ヒロインは失読症という病気をかかえていてソレを誰にも話せずに一人で苦しみ、自分に自信の持てない状態です。そんなヒロインの新たな面を少しずつ知る度に知らず知らず惹かれてゆく頑固なヒーローの様子はヒロインを応援したくなるほどです。ヒロインの悩みにヒーロー自身が気付き、ヒロインに自信をつけてあげるヒーローは中身も素敵なヒーローです。

ヒロインずっと孤独だったんだなあと感じて悲しかったです。失読症だけでなく摂食障害・夢遊病も経験しています。どんな風に生きるんだい？と聞かれて『恐怖と不安と自己嫌悪と、抱えきれないほどの後悔とともに生きるのよ』と心の中で答える、、なんて辛い人生よ。最終的には愛し支え誇りに思ってくれるヒーローが側にいてくれるようになるので、良かったねーと幸せになりました。

ヒロインがどうして必死に失読症を隠すのか、何故自分に自信が持てないのか、何でヒーローに対して意地っ張りになるのか等の経緯も無理がなく、なるほどと思わせます。最初は悪印象しか抱いていないヒーローが徐々に彼女の苦しみに気付いていく過程が良かったです。

ヒロインは、失読症があり 幼い頃から 学習面で苦労してきました。それは 親や先生といった周りの大人の責任だと思う。母、兄を亡くした喪失感もあり反動から軽薄な人間を演じてきました。が、それを考慮しても やっぱり お金持ちの甘やかされたお嬢様って感じがします。本当の自分をわかってほしいなら どこかで自分を変えたはず！プライドばかり高すぎてあまり好きにはなれませんでした。

父親から失読症を受け入れてもらえず毎年図書券を送られるヒロインが可愛そうではありましたが、もう少しほかの生き方がなかったのかと思わなくもないです。自分を守ろうとするあまり、結果働く事もせず遊んでばかりで自分に何ができるか探そうともしない。世の中、失読症でも人生を模索して努力している方もたくさんいるのに奔放な生活は品がなくお金持ちのわがまま娘と言う印象です。ヒーローとはぶつかり合いながらも次第にお互いに惹かれていきハッピーエンドですがあまりどきどき感はなかったかな。

　攻撃は最大の防御、とばかりに周囲に高慢な言動をとるヒロイン。読んでいくうちにまさしく「心が叫んでいるんだ」と分かりますが、それにしても何か他の方法はなかったのか、という感じが付きまとうので物語にもう一つ耽けることができません。率直にいえばイライラする。ヒロインにつられるようにヒーローにもイラつきました。途中、誰かもっとヒロインを理解して優しくしてくれるシーンがあればいいのに。最後にヒーローがヒロインを理解してくれるまで読んでいて落ち着かない、ので星は少なめです。

サバティーニ家のお話もこれが最後。妊娠したジョルジオの妻マヤに「その子は本当に兄の子なのかい？」と言った嫌味なニック が今回の 主人公。ニックの母が言った通り、本当のニックは優しい人でヒロインの本当の性格を見抜き、強烈に惹かれます。がその感情を無視しようとしたため、ヒロインに距離をおかれます。(と言ってもほんの2,3日)その途端自分の気持ちに気づいていてもたってもいられず、何をしたのかはぜひ読んで確かめて下さい。