レビュー一覧

ひたすら色気が漂っている一冊でした。愛人と弟子、二人と関係を持つ華道家の話。死にネタのクレーム抑えるためにいきなり最初にもう殺しちゃってるらしいですけど、そこからの話の流れがすごく上手いなと思います。ただ設定は普通の愛の話じゃないので、ちょっと感情移入は難しいです。同時収録はメンズブラの話で、なかなか可愛かったです。

華道の家元が亡くなったところからお話は始まります。彼の唯一の弟子の回想で、死の真相に迫る…。そこからすでに、物悲しい。出会い、惹かれ、焦がれ、愛憎に苦しんで解放され、やっと穏やかに心を通わせた矢先の、余りに不幸な事故。けれどそこに至る必然の様なものが所々で描かれていて、「ここでこうしていれば」という、やるせなさを抱えつつ、読み進めました。あくまで事故、なんですよね…。そして弟子がその後どうなったか明確な描かれ方をしていないのがまた、すごい余韻を心に残してくる。本当、１本の映画を観ていた気持ちになりました。とても読みごたえがあります。★ひとつ減らしたのは、読み返したいかというと…微妙なんですよね。しんどくなるから；あと、何故家元が愛人となったのか、とか、気になるところがあって。匂わせるだけというのも情緒があっていいのだけど、自分としては全部知りたいと思ってしまって。苦笑。

葬式から始まるセンセーショナルな内容に、ドキドキしました。読んでいくうちにまるでサスペンスを見ているような気分を味わいつつ、男同士の愛憎劇へと展開する話の流れにすごく引き込まれます。この方の作品は映画のようで、そして小説のようで余韻がすごく残ります。次作も楽しみです。

何も考えずに買った私が悪いのですが、ハッピーエンドが好きなので自分には合いませんでした。

1年以上は前に読んだのでうろ覚えなんですがいきなり受けのお葬式の場面から始まってビックリの展開でした。受けのオッサンがけっこう攻めの才能に対して嫉妬深く気難しい感じ。暗くて絵も地味だけどこういう作品は嫌いではないです。

ただの恋愛漫画でなくお洒落でとてもノスタルジックで、静かだけどその中でとてもやるせない人間臭い短編小説を読んでいるようでした。どうしてこういうエンディングに、と感じながらもこう終わるから愛が残るそういう感じです。ドキドキワクワクでなく深く感じたいときにお勧めです

表題作、互いに睦言を囁くような甘いシーンはほぼありません。が、やりとりや行動に想いの深さが滲み出る、切なくも悲しいお話です。ハピエン王道とは対極にあるという意味で上級者向け。対して後半の読切はちょっと性癖絡みのハピエンで、ある意味清涼剤かも(笑)。

しっかりしたお話でした。切なさもあるし、やりきれない場面もあり、充足感を感じて読み終えました。

葬式から始まっている時点で彼との幸せな未来はないと判ってはいるのですが、独特な雰囲気のある作品。

一風変わった読後感が得られる、色気溢れるミステリアスな作品でした。