レビュー一覧

これは中々…読者の人生経験いかんで、受け取り方が大分変わるお話のように思えます。育った家庭に引け目を感じるヒーローが、長い間真実を語れずにいたこと、それが原因でもっと大切なものを失っても、ほんの少しだけしがみついていられる秘密に縋らずにはいられなかったこと、私は痛い程分かる気がしました。このヒーローを後ろ向きと謗ることは容易いですが、私は寧ろ、こんなになっても彼が決して父親と弟を見捨てなかった事実に、彼の持つ根本的な強さを見出したいと思います。だからこそ、最終的な改心と和解が生まれたのですし、何よりも彼が、ヒロインと息子を取り戻すために必要でもありました。思い遣りが足りないのではなく、ただ単に想像が及ばないという理由で、知らずに人を傷つけてしまう事、追い詰める事は意外と多いものです。自分の人生が幸せに恵まれていると思うなら、当たり前を当たり前と思わずに、感謝する事を忘れずにいたいものですね。幸せなのは決して悪い事ではなく、その分だけ愛し許せる力を沢山持っているのだと、このヒロインは教えてくれます。ロマンスとしては盛り上がりにやや欠けますが、家族の物語としては良いお話でした。

身内に犯罪者がいると恋人になかなか言えないですよね。その気持ちは分かるんですけど、恋人の妊娠の可能性を考えもせずにスッパリ姿を消すというのもどうかと。ひとりよがりがまねいた結果ですね、ハッピーエンドでよかったです。

痛ましい殺人事件や強盗事件のニュースに「犯人の家族は何してるんだよ！」と自分自身何回か……何回かじゃすまないかな……そこそこ思ったことはあるので、そういう感情を向けられる側だったヒーローの危惧や恐怖心は無理もないことだと思う。でもそれはそれ、これはこれ。ヒロインの「二人に信頼がない」というのは正鵠を得ています。ヒーローはまず「愛している」というより「何も言わなくてごめんなさい」と言うべきじゃないかな……　いい父親してるとは思うけど、恋人、夫としてはアカン方だと思う。

何でもそうだけど、理由を説明するっていうのは、難しいけど、一番大事だなぁと感慨深いお話でした。そうすれば、誤解せず泣く事もなかったのに。ヒーローの父親には、もっと反省してもらいたい。「見限ったりしないだろう」や「よくやってくれた」って、上目線で言う事じゃないだろうって、かなりイライラしましたが。ヒロインの子供を守る強い母親の姿に星4つです。

ヒロインと息子はイイ！だけど、ヒーローのウジウジしている所が、どうも好きになれない、、、

突然子供が病気という緊迫したところから始まりますが、少し情けないながらも家族を思っているヒーローでした。絵がとても綺麗で病気でベッドに横たわる息子がとても儚く、移植が成功してからは日に日に元気になる姿が躍動感溢れて描かれておりました。ヒーローが父親に母が生きていたらどうだった？と謂う問い掛けに、父親がとても幸せだった頃を懐かしむような笑顔が素敵でした。

なんと言うか…、良い家庭に育った娘さんの天真爛漫さって時に傲慢だよねって、強く感じたお話でした。ヒーローは本当に優しい！絵も綺麗でよかったです

ヒーローの立場も分かるけど、ヒーローはヒロインの笑顔を奪うような事は絶対に出来ないと思っているにしては、既にあなたはヒロインの笑顔を奪っていますよと思いました。ただ単に自分がヒロインに嫌われたくないから家族のことを言えなかっただけ。決めるのはヒロインなのにヒロインに大事な事を言わずに逃げるヒーローは許せない。自分がヒロインから逃げておいてヒーローの子供がいる事を黙っていたヒロインに自分には知る権利があるなどとよく言えたものです。

どんな理由があろうともヒロインを捨てたのはヒーロー。妊娠の可能があったのに陰ながら見守る事をしなかったのもヒーロー。あんな風に捨てられて妊娠報告なんかするかバカタレが！

ロマンス少なめ家族としてのテーマにはぴったりな良い話です。ヒーローの葛藤と去ってしまった理由も最初こそはハーレー特有のヒーローの言い訳に近いこじつけ理由で「君を失うのが〜」だと思いました。弟のせいとはまた別と…ただ読み進めていくと後半になりキチンとした理由で葛藤していた場面は人間味があり、それを知ったヒロインがヒーローを許すのも長い年月の苦しみの過程があったからこそで納得出来ます。どちらも精神的に自立したヒーローヒロインで、大人な絵とマッチしていてとても好感が持てました。