レビュー一覧

ビンが可愛くて、この二人が出会えてよかったなあと、しみじみ思いながら読みました。元彼は自己表現下手すぎだろう。それがまた切ない。本当はこの人もビンと幸せになりたかったんじゃないかな。これから福の神になっても、きっと二人はお互いがいればそれが一番の幸せですね。元彼視線とか、先輩後輩視線でスピンオフ読みたいなあと思いました。

相変わらず深いです。作者様のお話には単純明解な悪役が出てこないのが読ませる所だなと思います。今回の貧乏神のビンはマイナス思考もいいところのいじけ虫ですのでイライラ注意(笑)それを一々拾って拾って拾いまくる片瀬の、プラス思考というより成功マインドに脱帽です。片瀬はどこに行って何をやっても成功する大物だと思います。

心優しい人に嫌われたくない寂しがり屋の貧乏神と欲がなく真っ正直なプロボクサー片瀬の二人の物語です。二人とも過去にとてもつらい思いをしているのですが、片瀬がボクサーとして強くなるために、ただそれだけをめざしてがんばっているのを、遠慮している貧乏神をちゃんと理解していきながら家においてあげて一緒に暮らして存在価値を見出してあげていたように思います。途中片瀬の元同級生の親が金持ちの石川が出てきますが、気に入らないだけでとことん嫌がらせをするどうしようもない人間なので貧乏神の力で片瀬を救います。片瀬は自分が無力なため貧乏神が嫌がっている力を使わせたことに申し訳なく思ってしまいます。片瀬は最初から最後まで貧乏神が貧乏神であっても福の神であっても変わらない一貫した態度をとっています。そうした片瀬と会えたことで過去もつらいだけじゃなかったと誤解がとけて良かったです。

清貧とはこのこと。貧乏神だから湿っぽい悲惨なイメージで読むのをためらっていましたが、いざ読んだら貧乏じゃなかった。貧乏なんですが、金銭に重きを置かない系の児童書のような豊かさのあるお話でした。

ストーリーにスポーツが濃く絡んでくるからか、攻めが特別からっとした性格をしているからか、爽やかめなお話でした。さらっとスッキリ読めます。

貧乏神のビンとプロボクサーのイチの優しいストーリーです。イチの大らかな包容力とポジティブ思考で、イジケ虫のビンは福の神になり、ハッピーエンドですが、どんなに大らかでも、不審者丸出しの貧乏神を簡単に受け入れてしまう所がちょっと残念でした。