レビュー一覧

1巻を無料で読んだ後、「男として、この作品は読まないわけにはいかない」と思わされ、2巻をレンタルしました。遊郭の存在は何となく知っていましたが、女性の人格がこれほどまで踏みにじられていたとは知りませんでした。女性をひとりの人格として認めず、男性の歪んだ性欲のはけ口、金儲けの道具としてしか見ていない…。残念ながら、こういった問題は過去のことではなく、現代においても根強く残っているのではないでしょうか。人の罪は今も昔も変わらないことを思い知らされました。

一時期、バナー広告がたくさん出ていて、恐ろしいワンシーンに尻込みしている間に、掲載が中断されていて、再度掲載されているのを見つけた時に勇気を出して読みました。古い作品ということもあり、暗い画風が更に救いのない世界観を引き立てていると思います。売られるために育てられてきた娘、売られる時に安値しかつかずに親に罵られたにも関わらず家族を想い続ける娘。好きで色の世界に沈めた娘は居ないのに、同じ風呂屋で一般人に心ない言葉をかけられる不条理さ。昭和32年までを描かれたかったようなので、途中から戦争も絡んできますが、幕張遊郭を描く上では必要だったのでしょう。最近のシンデレラストーリー仕立ての華やかな花魁もどきのお話しを見て、間違った憧れを持っている世代にも読んでほしいです。何が哀しくてこんな世界で、必死に咲き続けなければならないのか。一番楽しい娘盛りに、自分の欲のためではなく、生きる為に咲き続けなければならない悲哀と、夢物語ではなく現実にあったことだと知ってほしい。私自信も、女郎さんの細かな日常を知ることが出来た部分もあり、勉強になりました。そんなに遠い昔のことじゃないと改めて沁みました。

つらい内容です。こんな時代もあったのだと。

借りる前に、みなさんのレビューを読みました。それと高評価だったことから、借りてみましたが、個人的な感想としては、評価は難しい作品だなと感じました。みなさんのレビュー通りの作品だなとも思いました。みなさんのレビューで多かったのが、「こんな時代があったと知らなかった、知ることができた」というものでしたが、まさしくその通りで、話には聞いていたものの漫画にされて、細かいディティールをえがかれると、より実感として、こういう時代に生きた人々の生活や思いを感じ取ることができた、という感じがしました。ただ、個人的には、「それだけ」でした。なんか教科書的というか、それが漫画として面白いかというと、どうなんでしょうか……。苦、悲、悔、虚、というような感情が延々と続き、うれしいとか、たのしいとか、おもしろいということは一切ありません。盛り上がったのは駆け落ちの場面ですが、それも結局失敗に終わり、また苦痛の時間に逆戻り。実際にそのような環境だったのですから、それでいいのかもしれませんが、作品として読むとつらい場面ばかり続き、２巻でおなかいっぱいになってしまい、もういいかなと本を閉じました。漫画作品に、どのようなものを求めているかで、特に評価が変わってくるのかなと思います。私はこのみではありませんでした。この作品で個人的によかったと思う点は、絵です。独特な表現が多く、背景の描き方などとても面白かったです。現代の漫画家さんは、「きれいな絵」の方が多く、こういう絵の方は減ってきている気がしますが、こういう表現はとても好きで、楽しかったです。

全話読んだことあります。昭和でも女性がまだこんな辛いことをしていたんですよね。前半はとても悲しいけれど、後半になるにつれ時代を生き抜いていく女性の強さ、子供から母へと引き継がれていく意思に涙しつつ、どんな形であれ守るべき物がある女性は強いと感動しました。この時代生き抜いた女性達がいるから、今の私達がいる。とても考えさせられる作品です。

当時の法律（娼妓取締規則）では満18歳未満の少女を女郎（公娼）にするのは禁止されていた。 女郎と番頭の情事恋愛はご法度。この掟を破ると番頭と女郎もそれぞれ別の土地の遊廓へ移籍されたり解雇された。 国内外の非難に押されて国は女郎の待遇改善を全国の遊廓に指示し、公娼制度存続のため業者はそれに応じた。 室蘭には女郎の救済活動を行っていたキリスト教団体（救世軍）が滞在し活動していた。 そのため幕西遊廓の貸座敷業者たちは他の地域の遊廓より進歩的な女郎の待遇改善を実行せざるを得なかった。 この漫画は二部以上に一部が時代考証無視のトンデモ展開だらけ。作者の偏った思想と史実無視のショッキングな設定描写で読者を釣ろうとする思惑で、 昭和初期の幕西遊廓を実際よりはるかに陰惨な場所に仕立て上げています。親なるもの断崖は事実と大きくかけ離れた創作で、 当時必死あるいはまじめに生きていた人たちを侮辱していますよ。 本当はもっと具体的に指摘したいことがあるのですが、 レビュー投稿のルールに違反するかもしれないのでこれくらいにしておきます。 （投稿名：通りすがり）

女郎の事を書いた小説は、宮尾登美子先生の「寒椿」があり、本当に非道な時代の話で、辛くなってしまいます。引用文献は違いますが、この漫画だと、更に辛さと理不尽さが伝わってきます。特に悲しいのは、お梅が、身請けされ、結婚・出産しても、いつまでも女郎としてみられ、完全に男どもを斥けることが出来ず、性交渉に応じてしまい、道生に誰にも言うなと口止めする場面です。それに夫も不甲斐ないし、姑・親族たちもひどい。一体誰が好き好んで女郎になると言うのだ。不器量な道子はなりたがって、最下層の女郎になったけど。

辛くて辛くてたまらなくなる話です。2度とこんな世の中になって欲しくはないけど、戦争してないだけで、今もこんな偏見やいじめなんて、その辺にいくらでもあると思う。

以前から気になる作品だったので購入しました。前半の遊郭の悲哀は、当時の社会情勢や女性の地位などリアルでしたが、身請け後は夫に問題があるとしか思えませんでした。好奇の目でみられること、娘への危機感など考えるまでもないことなのに。最終巻まで読む気になれませんでした。

遊廓、戦争、思想など重いテーマを扱っているにも関わらず、ストーリー展開の巧みさでどんどん読めてしまうのが凄いです。ただ、巻末の短編は個人的にはイマイチでした。本編のみで星5つ評価にしたいと思います。