レビュー一覧

今まで読んできた神楽日夏さんの作品の中でも一番好きかもしれない。今までのモデルを題材にした作品では、女装だったり中性的なモデルさんが主人公でしたが、この小説は普通の男の子が主人公になってます。ちょっと綺麗な顔をしたどこにでもいそうなモデルの男の子が新しいブランドのイメージモデルに抜擢されて…というお話なんですが、主人公の男の子が男前ですごくよかったです。仕事に対するプロ意識が芽生えてどんどんいいモデルになっていく過程が自然に描かれていてBL抜きにしても面白く感じました。

ファッション業界で成長する受けと万能完璧男のようで自分が作りたい服は普通の人が楽しんで着られる物と拘る攻め。大人で自信もあるので態度に余裕がある攻めの仲間や恩人たちと、受けの育ちの良さや大抜擢を憎み妨害しようとする若手モデルの先輩たち。色んな人がいます。ラブは終盤にあるだけでそれまでは業界人の成長物語的。でも楽しく読ませて頂きました。

イラスト付いてないの残念でしたが、読み応えのある作品でした。暁の心の成長...大学二年生ごろって就活を始めたり、自分がどう生きていくのかが現実的に定まっていく、とても考える時期で一生を左右する時期でもあるわけで、その時期の出逢いやタイミングで本当に自分の未来が大きく変わる大切な時間を一見華やかな世界を舞台に書かれている本作。エッチは少なめで普段だと物足りないと思う私ですが、読んでいて爽やかな気分になれる作品でした。現実はもっと色々大変な時期だけど、良かったわ〜、笑。

日夏作品は設定が少し現実ばなれしているものが多い、、、？と思っていたら、この作品や『肌にひそむ熱のありか』のように珍しい設定なのに細やかな描写で違和感がなく、どんどん日夏ワールドに引き込まれていく作品があったりと、バラエティに富んだ作品たちが魅力的なのですが、、『ドレスダウン』は間違いなく日夏作品の中で上位にされる方が多い作品だと思います。

BLメインより、学生バイトモデルの成長物語で、面白かったです。脇で見守る加賀谷さん達大人も、過剰に手助けしないで、暁が自分で気がついて伸びていくのが良いですね。新しい洋服ブランドのスタートと恋人になったところで、終わるので、続きが読みたいです。恋愛がプラスされて、モデルの仕事も服のデザインも変化していくと思うので、先が気になります。

曉くんがモデルとして開花していく様と、加賀谷さんとの距離が縮まっていく過程が楽しめました。自分には文体がやや硬めに感じましたが、どのシーンもドラマティックで高揚感がありました。