レビュー一覧

別居夫婦の再生もの。傲慢で所有欲の強いヒーローに不倫を疑われ、侮蔑され罵倒され娼婦のように抱かれる日々に我慢できず、1年前に逃げ出していたヒロインの過去が徐々に明らかになり読みごたえがあります。ここからネタばれ。ヒロインはセクシャルで男を奴隷にさせる奔放な女性という仮面を被ってモデルとして生きてきました。自分を一躍有名人に押し上げた写真家のおかげでその仮面を被り続けたけど、自分の人生を生きている実感がなかったヒロイン。でもヒーローはヒロインの仮面を壊し解放し自由にしてくれます。人を惑わすセクシーな女性と結婚したのではなく、その仮面の下のヒロインと結婚したのがヒーローでした。でも写真家はヒロインの仮面を本物の彼女と思い恋焦がれるようになり無理矢理拉致した途中で事故死。ヒーローはヒロインに裏切られた、セクシーな仮面が本物の彼女だ、と思いこみ傷ついてヒロインに冷たく当たってしまうんですね。なぜならヒーローはヒロインの前でだけは仮面をはずしていたから。ヒーローは富と権力を受け継ぎ、そつのない洗練された男。でもそれは社交場の仮面でしかなく、仮面の下のヒーローはパーティやナイトクラブで過ごすより、妻とふたりで家にいることを好む男でした。結婚当初からヒーローは仮面の下の自分をヒロインにさらけだしていたのに、ヒロインは気付かず、理解していなかったことに気付きます。仮面を外す事は、自尊心のある男にとっては妻に弱さをさらけだすことになるので危険であるけど、ヒーローはさらけ出していたんです。ヒーローは言います。「問題は、君と一緒に暮らせるかどうかでなく、君なしで暮らしていけるかどうか」だと。ヒロインも自問します。「私は彼なしで生きていけるだろうか」と。最後のヒーローの台詞が素敵です。「ぼくにも夢があるんだよ」「それは何？」「君だよ、ライザ」「他には、ダーリン？」「君だ」「君だよ」深いお話でした。

良かったけど、終わり方…。結局元サヤだけど、その決定打となった事柄は何か分からない。精神論的なものが強くあり、最終的にお互いにお互いが必要なのよってこと？？１年妻を探してる間にどうにもこうにも愛し過ぎてて彼女がいないのが堪えられないからってのが全てかしら。部屋中の壁に写真って…それが物語ってます。

結婚生活から逃げ出したヒロイン。そんな彼女を見つけ出した夫。二人の再開から物語は始まります。愛し合っていた二人の間に何があったのか…。熱烈に惹かれあって結婚！で終わりじゃなくて、結婚してから、夫婦としての信頼関係を築いていくストーリーでした。ヒーローの執着ぶりが、凄かったです！

ハーレークインにしては難解な感じでした。結局ヒロインの本当の内面は写真家によって撮られた作り物でなく、ヒーローと料理を作ったりドライブしたりする素朴な日常の中にあったのですね。

傲慢ヒーローがヒロインを手に入れるという、いわゆるハーレクイン的な話しとはちょっと違いました。もっと内面、精神的にお互いどうしたいのか、でしたね。最後まで読んでかなり重く感じたけど、これはこれで面白かったです。