レビュー一覧

ミカエル×ルシファーの人間界編、その二。記憶を失ったまま人間界で生きてきたルシファーは、それなりに悪魔っぽくなってますが、やはり根はいいやつなので、自分のせいで（というか、ドSミカエルのせいなのですが）可哀想なことになってしまったアシタロテを救おうと奮闘します。もう、本当にアシタロテが可哀想。昔とかわらず、可哀想なんですよ。（今度こそは！と、アシタロテの幸せを期待している方、ご注意を）……でも、まあ、しょうがないのかな。ご存知の方も多いと思いますが、アシタロテは古代フェニキアの豊穣の女神さまです。キリスト教の布教で、他の異民族の神々と同様、都合よく悪魔にされてしまった存在なので、それをそのまま描いているということでしょう。なんか、やりたい放題だったミカエルだけしめしめな感じが、ちょっとイラつく気もしますが（苦笑、熾天使二人はハッピーエンドです、たぶん（？）。

吉原節ぜんかいです。相変わらず攻めの自分勝手さに呆れますが、受けは何だかんだで許してしまうんてすよね。ちょっと乱暴な言葉遣いが苦手です。

これってここで終了なんですか？あとがきにもありましたが、編集さんの次作もヨロシク話はどうなったの？こうなったらルシファーがサタンになるまで是非とも読みたい！

とにかく「？」が多い作品です。まず、この作家さんは何を書きたかったのかな？という疑問が残りました。これは、私の読解力不足でしょうけど、そもそも読者層を考えて書いているのか疑問です。それにこの作家さんの独特な文章も、格調の高さを狙っているのか、これがこの作者さんの地なのかも疑問です。内容的に、天界の秩序というか規律統制について書かれている割には、そこまで本筋（ミカエルとルシファーの愛執）には関係ないし、天界の煌びやかさ神聖さ幽玄さと、ルシファーの意思を無視したミカエルのドロドロしたゲスな（言い方悪くてすみません）執着と身勝手さ、その他の大天使（ガブリエルとかラファエル）の存在感と発言権の弱さが、とにかくアンバランス。所々でみんな重職にあるからお仕事大変なんです、みたいな描写を混ぜてますけど説得力はないですよね。しかもあの神様！神様そのものがルシファーに執着してて、やることに一貫性ないし、神様なのにそれでいいんですか？って感じです。天界無秩序すぎませんか？そこでまた最初に戻るんですが、結局この作品で何を書きたかったの？です。耽美なのはわかります。でもこれは耽美のための耽美小説なんですか？　あと、終わりかたがオープンですよね。余韻を残しかった？それにしては少し雑な気がします。他のレビューでもありますが、不完全燃焼ですよね。もし余韻残すならちゃんとした「余韻」を味あわせて欲しいです。どんな終わりかたにしても、作者さんだけが「私、書き切ったわ！」みたいに満足しちゃって読者を置いていくのは、プロの（作品を売っているという意味で）作家さんとしてはどうなの？という気もします。読者の好みに合わせろとは言いませんが、読者を納得させる何かは残して欲しいと思うのです。3冊とも読みましたが、単に天使絡みの耽美な雰囲気を味わいたい人以外にはオススメしません。恋愛小説でもBLでもないです。

途中までで、少しだれるところもありましたが全巻読んで良かったと思わせくれます。ルシファーの行動を読めるミカエルは流石の一言、だけど少しクズだなとは思いました。それも含めて破れ鍋に綴じ蓋なんですかね。

この作家さんの本は表現がちょっと独特。好きだけど、時々場面がよく飛んで、あれって思う事がある。でも好きだから読んじゃう。

ミカエルのルシファーへの執着ぶりが二重螺旋を思わせるほどでした。

アシタロテがなんともかわいそうでした。とりあえず天上に帰れて良かったです

アシタロテを連れて行くために天井界に帰るというのが、なんともルシファーらしいなと思いました。