レビュー一覧

とても良いお話でした。最悪とも言えるような出会い方をして、受けの和叉は攻めの塔野に心の傷を抉り出されるようなことを何度もされてこれがどう恋愛に発展していくのかと気を揉みながら読んでましたが心の移り変わりというか変化が自然で無理がなく、どうして二人が惹かれたのかとても納得できるものでした。お互い自分を守る為に死に近づいて何とか息をしていた事実は悲しかったけれども、凄く良い形でハピエンを迎えられて嬉しい。同級生の有坂は八つ裂きにしたいくらいのクズ野郎でしたがこちらの末路はスカッとするものがあり、戦場カメラマン二人の腕がなりました。気持ちいい！いつも一緒にいられるわけじゃないけど確かに帰る場所があることはとても心を強くしてくれるでしょう。

トラウマ攻め×トラウマ受け。ヘビーだけど可哀想受け好きにはたまりませんでした。高校時代の友人にレイプを受け、その時沢山写真を撮られたことから、他人との接触も写真を撮られることも嫌悪感がある受け。攻めは粗野で横暴な感じのカメラマンで、フラッシュバックして嫌がる受けをバシャバシャ撮りまくるという何とも乱暴な人で…こんなに可哀想な受けのトラウマを解消してあげるのは、もっと優しい人が良いんだけどな…と何度か思いました。でもそんな荒療治が、受けには良かったのかもしれないです。攻めにも心に傷があることに気づいてから、受けの心にも変化があり、攻めを徐々に受け入れていく様が自然に感じられました。あれほど嫌っていた「写真」が、良いものだと思えるまでになって良かったと思います。好きな相手との望む行為だから良いみたいでしたが、それでも、攻めとのハメ撮りを許しちゃうところは何となく迂闊な気もしたけど…高校時代レイプした友人がなかなかの悪者で、再会してからも受けを傷つけまくってくれて萌えでした。トラウマ同士ではありますが、最終的には攻めがちゃんと受けのピンチに助けてくれてかっこよかった〜。カメラでしか語れない男なのかもしれないけど、やはりもうちょっと優しい攻めであってほしかった気もして星マイナスです。

トラウマ持ち同士の再生物語。2人の抱えるトラウマは結構ヘビーな内容ですが、途中からちゃんと愛が感じられたからか、読後感は悪くなかったです。

和叉が経験した突然の裏切りや無理矢理行為に嫌悪しながらも頑張って読み終えました。和叉も塔野も自分勝手に守りに入り滞っていた生き方を共に塗り替える事が出来たハピエンで眉間のシワが取れました。イラスト画とても良かった、塔野の写真の画も見たかった。

トラウマを負った受がまた痛々しい事になってしまいますが、私は沙野先生を信じておりましたので(笑)、少しずつ無理なく二人を近づけてくれました。冷たい美人受と傲慢攻です。傷を負った二人が互いを必要とし惹かれ合うのは必然ですね。その様子がとても丁寧に描かれています。挿絵も本当にどれも美しく、作風にピッタリで雰囲気を盛り上げてくれます。

文章表現が的確であり詩的であり、とても好みでした。タイトルの説明箇所、夕陽の色の捉え方表現に心が揺さぶられました。ただ、受けが受けたレイプの傷がずっと重くのしかかってきます。後半、その傷を開くようなゲスな同級生の存在にも嫌悪感でいっぱいになりました。なので星を一つマイナス。後日談で、平和な優しさ雰囲気にほっとしました。

まだこの作者さんを読み始めて長くないのですが、ここまで清々しいくらいのヒールは初めてでした。コテコテヒールはあまり好きではないのですが。カメラとエロ、快楽のためとなりがちなのが、自分を整理していく過程になるのが伝わってきて楽しかったです。あまり可愛げもないけど、あんめりな境遇の主人公が幸せにして貰うのではなく、二人で幸せになれて良かった。この作品にはこの挿絵作家さんは繊細過ぎるかなぁと思います…。

変わったタイトルの遮光線の意味が後半で良く解りました。悲惨な過去のトラウマを抱える和叉が痛ましく、塔野の俺様的強引さが際立ちましたが、荒治療の様な行為が良い結果となって良かったです。

100Ｐで48Ｈだったので、評価は甘めです。寸止めプレイがお好きな方は萌えがあるかもしれません。笑。お互いの傷を知り、乗り越えてハピエンなので安心して読んで下さい。

読み始めたら、一気に読んでしまいました。傷を抱えた二人が幸せになれて、よかった。