レビュー一覧

壮大な傑作。たった4巻しかないのに、大長編の読後感。舞台は竜が生きていた太古、かつSF。本当にこうだったかもしれないと思ってしまうファンタジー。銀の髪、銀の瞳の王子イリスは偉大なるエル・ライジアの遺志を汲み、大神官の任に着く。そのイリスに恋してしまう、王妃となるべく育った姫君。彼女を愛する弟王子が王となり、大神官たるイリスとは対立することになる。そして、幻視のごとく具現する、舞姫シリン。滅びた部族の長の遺児、黄金のカラ。非人間的な殺人技を継承する青年ゲイル。多彩なキャラクターもそれぞれに魅力的で刺激的だ。翼竜での滑空シーンは胸がすくし、強力、闘竜といった竜の扱いも面白い。もはや、古典名作と言っていい作品だと思います。（『竜の夢その他の夢＜夢見る惑星ノート＞』読了後、一部修正しました。）

短編「星の丘より」より数世紀のちの大地が舞台のＳＦ。2010年に惜しくも亡くなられた著者は、理知的で何より美しい日本語での作品を残している。本作は王の長子として生まれながらも、母とともに身を潜めて暮らしていた第一王子が主人公の壮大なＳＦ物語。本人が望むとも望まぬとも、ただひたすらに民の為に生きてゆく事となる。読後は大地の成り立ちを改めて学びたくなること請け合い。紙書籍で持っていました。多感な10代の頃、大好きで大好きで、寡作な著者の新作を心待ちにしていたものです。10数年ぶりにまたこうして出逢えて嬉しい一押しの作品です。

リアルタイムで読んでましたし、全巻そろえてました。傑作です。独特の画と乾いた世界観は少女漫画のなかでも異質でしたが、それに魅せられた人も多かったはず。若くしてさまざまな権謀術数を尽くし、地殻変動からより多くの人々を逃そうと手をつくすイリス。その意を汲んで協力する科学者や神官たちの脇キャラも個性にあふれ魅力的でした。私は、冒頭でイリスがなぜエル・ライジアの遺志を継ごうと思ったか、というシーンが心に残っています。”　世界は泣き叫ぶ竜の仔の声でいっぱいだ　”　感応者であるライジアにとっては、たった１匹の竜の仔も人間も同じ叫びで、己の神経の方が耐えられなかった…という感覚が印象的。

初めて読んだ時の感動が、あせる事なく溢れて来ました。本当に、何度読んでも物語の世界に引き込まれてしまいます。

昔持っていた漫画です。漫画というより芸術品のようです。美術館に行って絵を見ているよう。自分も物語の中に入り込んでしまったような感覚すら味わいます｡ 1番好きな漫画…と、ある時期に言っていたくらい大好きな漫画でした｡ この漫画を知っている人はもう疎遠になってしまった友人｡ それから昔、渋谷の道玄坂にあった本屋さんで、主人公のイリスの絵と佐藤史生先生サインの色紙が飾ってありました。それをじっと見つめていた若い自分｡ いろいろ遠い昔の事が思い出されます｡

壮大なスケールで描かれたSFファンタジー作品で来るべき地殻変動よる大地震から人々を助け出すために大神官イリスがその求心力で奮闘します。どこか太古の世界を思わせると同時に幻想的な雰囲気に酔いしれました。

しっかりとした世界観のある物語でした。ハリウッドで映像化して欲しい！

文句の付けようがない名作ＳＦです。物語を通して世界観を読者に提示していく中盤までと、それ以降の急速に話が進んでいく後半の スピード感の違いが素晴らしい。また、それぞれの登場人物のセリフが、芝居掛かって洒落ているのも魅力です。なお、同じ作者のコミックス「金星樹」に収録されている 「星の丘より」という短編を読んでから読むと、物語の終盤で、あぁこう繋がっていたのか！ と感嘆すること請け合いです。

壮大なSFファンタジー世界を独特の流麗なタッチで描きあげている。昭和の時代の作品らしく、ゆったりとしたペースで話が流れてゆく。初見の読者にはやや不親切で、世界観の説明や各国の地図などがないため、ストーリーの展開を見ながら自分の頭の中で世界を組み立ててゆく必要がある。それが楽しみといえばそのとおりだが。

ずっしりと奥深いSF作品でした。超然とした態度で周囲を翻弄する主人公イリスが魅力的でした。