レビュー一覧

最終刊は大坂の陣のその後と様々な伏線の回収で、しずかに終わっていきます。史実とフィクションがおり混ざる小説ですが、フィクションの部分であってもリアリティがあって、史実がある程度把握できていても、とにかく次がどうなるのかが気になって気になって。今のような平和な時代と違い、過酷な戦国時代。何をもって正とするか邪とするか、誰が善で誰が悪か。そんなことは後世が決めることであって、魅力的な登場人物たちは己の信念に従って懸命に戦う。

戦国時代を舞台として多くの作家が繰り返し描いた話ではあるが、歴史者としての材料の面白さはやはり群を抜いている。原作池波正太郎ということなので重量感たっぷり、コミカライズも外連味なくまっすぐにきれいな線でえがきだしている。

原作もよいですが、マンガになってもよかったです。

真田太平記は原作小説を何度も読みましたが、ほぼ原作に忠実に漫画が描かれていてたいへん面白く読むことができました。そして原作の文章ではイメージしきれなかった画像（大谷よしつぐの様子など）も見事に描かれており、さらに歴史観が広がりました。みなさんにもお勧めしたい15巻です。