レビュー一覧

この作者さん、社会問題をドラマとして描くのがとてもうまい。特にこの作品はハードな問題がたくさん織り込まれていて、次から次へと主人公が堕ちていく姿がたまらない。堕ち方がリアリティあるだけに、途中で一回息をつかないと読み進められないほど。内容としては、貧困、虐待、DVは連鎖することが痛いほどよくわかる。そして、そういった人々になんで自分から動かない、頑張ってはいあがれ、などと言ってしまいがちだが、主人公が自分もその境地に陥って初めて気付くように、それは所詮、明るい場所から毒矢を放つことでしかないのだと知らされる。しかもそれにより、傷付いている人たちをさらに傷付け、追い込むことにもなる。我が身の言動に気を付けようと身につまされた。ぜひ、1人でも多くの人に読んでほしい。