レビュー一覧

吉野先生の作品は一貫して子供の視点を忘れていないような気がしました。どこまでも膨大で張り詰めた世界に、置き去りにされないように必死だったあの頃を思い出しました。

言葉じゃ説明できない、読まないとわからない面白さがあります。「大きくなったら」４年１組１７番夏目礼智「どんなに大きくなっても、ぼくはぼくにしかなりません。だからぼくはぼくになります。」この作文を怒らないなった担任は良い先生だと思う。「私はかっこつけて生きるわよ。スタイルのない人生なんてクズよ。」艶ちゃんかっこよすぎます。十歳の女の子の台詞じゃないよ。

独特の世界観に引き込まれました。想像以上に難しくなんと説明したらいいのか。読み応えもありました～。

絵の感じと物語のテンポのようなものが良く合っていてステキな作品です。

今林君とお母さんが素晴らしい！らいちはこのお母さんの子で良かった。子どもは親を選べなくて、同じ感性でも親が違うと幸せだったり不幸になったりするのだなぁと最後は物悲しかったです。

スイカの最後の一口を残すとか、友達のうちの仏壇を怖がったりとかそういうことがあったなあと思いながら読んでいました。こんなに面白くはなかったけれど、子供の頃は小さなことに必死になっていたような気がして、懐かしく読めました。

あまりにも素晴らしい。主人公だけじゃなく、子どもたち一人ひとりがちゃんと自分の考えと意志を持っていて、本当に生きて動いているように感じます。しかも子供時代ならではの描写が細かく（ex.乳歯の感じ方など）、本当に作者自身が覚えているのか、それとも自分が今子供だったらどう感じるか考えて書いているのか、いずれにしても物凄いです。大好きな作品になりました。次巻も楽しみです。

大人がそうであってほしい都合のいい子どもの姿ではなく、子どもの視点で描かれたリアルな、その代わり心の奥が痛くなるお話です。一瞬であの頃に帰れます。