レビュー一覧

クリエイターは世界の事象に敏感であるはずだと思って、なのにトップクラスの作家さんがこれだけ狂った現実を前になんで黙して語らないのだろうと不思議でした。単純に自分の情報不足、作品を目にする機会も、それに接する努力もしてこなかっただけでした。１巻は数日を丹念に語りますが、２巻は十数年を駆け足です。出版社とか掲載誌の都合とかの大人の事情か？と思ってましたが、違いました。この本の感想で「恐ろしい」という言葉を何度も目にしました。私も読みながら何度「恐ろしい」と鳥肌が立ったことか。「まだまにあう」のか？間に合うのか？私たちは間に合うんだろうか？作者の痛いような祈りがそこにある、と勝手に解釈しています。早く、早く。

萩尾望都作品はなに読んでもおもしろい。リアルなところが良い。

子供だけのサバイバルものと思うと最近は珍しくないんだけど、さすがの描写でぐいぐい読ませる力がある。近未来的な科学名詞と青年団消防団公民館とか地方らしい古風な名詞・システムが混在してリアルな切迫感が生まれているのが楽しい

さすかの萩尾望都さん。独特なSF作品を描かせたら右に出るものはいないなと思わされます。突然子どもだけになってしまった世界で奮闘する子どもたちの姿が心細くも力強く、一気に世界観に引き込まれました。

望都先生が小松先生の原作で描いた近未来SF。子供たちと大人が分断された世界で次から次に起こる問題事件。子供では解決が難しい問題を年長のティーンがリーダーシップを発揮して片付けるも、またも子供たちに降りかかる難題の数々…流石の面白さで星5つです。

誤解を招くかこもれないが、原作有りの萩尾望都先生は常軌を逸する面白さ。

考えただけでも背筋が寒くなる分断世界で真摯にたくましく生きようとする主人公たちの姿に敬服しました。子供たちこそが純粋で正しいことを行える、または行おうとする。大人たちはそれができないのだなぁ。

この作者さんのミステリーはおもしろいです。続きが気になります。

さすが、第一級のクリエイターが創る世界でした。これが、数百円で読めるとは…。このメッセージは、老若男女、世界の人に読んで欲しい。難しいとは思いますが、「シン・ゴジラ」のように実写特撮映画化して欲しい作品でした。

萩尾作品としては、ずいぶんお手頃価格です。おもしろいです。小松左京さんの原作も読みましたが、全く違う話でした。原作を読んだ方も、全く新しい物語を読むように楽しめます