レビュー一覧

デカタンスという言葉がとても似合うマンガ。端正な絵柄なのに、高貴で猥雑な内容に果敢に挑まれ、上手くいったな、と思う。理不尽だし、エロが破綻的なのがこの時代の厭世感を出してて良いです。小説のマンガ化ではないのか…

絵が好みなのと、大好きな18世紀ヨーロッパの話なので購入。当時の上流階級にありがちな、というか定番的な愛とスキャンダルや駆け引き、見栄の張り合いなどドロドロした世界。すっきりハッピーエンドが良い人は読まない方が良い。

昔の貴族社会ではよくあった恋の駆け引き。当人同士の駆け引きならば恋愛話で済まされる事を他人を巻き込み他人を駒としてゲームをするように恋愛をおもちゃにした結果…自分達が恋愛ゲームの支配者のつもりで、しかし自分達自身も恋愛という大きなフィールドで踊っていた…。何とも哀れで考えさせられるお話です。お話が手紙を中心に進むためなかなかの文字数で進行も遅いのですがそれも時代をリアルに感じるエッセンスと思えばよいでしょう。恋愛に勝者はなくおもちゃにするととんでもなく心にしっぺ返しを食らうものだと教えてくれるお話です。

色恋沙汰のつまらない話・・・解説を読む限り全く読む気がありませんでした。ただ、さいとうちほさんのコミックはオリジナルよりも、古典を使った方がとても思慮深くそして博学な知性を醸し出すものが多かったので読んでみました。恥ずかしながら、原作も読んでいないので偉そうなことは書けませんが・・・やはりラクロの原作の時代背景を調べられたり、映画を見たりされてとても緻密な物語になっていました。最後まで貞淑で綺麗な心のトゥールベル夫人、二人のゲームであんなにも傷つけられているのに許してしまうなんて・・・とてもやるせなかったい終わり方だったのですが物語中、セシルがとても思慮深くもなく、浅はかで、無知な少女として扱われていたのに最後、母親に「社交界、この世界に未練がない」と、啖呵を切ったシーンはこの物語の主人公の愚かさをうまく締めくくってもらった感じがします。この最低なゲームの犠牲者の一人である彼女が一番、人として成長したのでしょうね。

フランス革命前夜の貴族社会を舞台としたラブアフェア小説『危険な関係』が漫画化された作品です。主役級2人の手紙のやりとりが作品化されている形式です。主役級2人の賭け的なゲームに周囲が巻き込まれ、思わぬ結末を迎える…というストーリー。なかなか面白いけれど、巻き込まれた登場人物が気の毒としか言いようがない。文学作品なだけあり読みごたえはありますが、読後感はすっきりしません。フランスの貴族社会に興味のある人にオススメ。原作を読んだことがないからわかりませんが、世界観が出ていて絵も美しいです。

ラクロの「危険な関係」はいろんな形で拝見したことがありますが、どの作品も面白かったですが、このさいとうちほ先生の「子爵ヴァルモン」もすごく面白かったです。手紙のやり取りという形で話は進んでいきますが、それがまたいい感じで話を進めていきます。面白かったです。

手紙の文面が構成要素として多く出てくるのが、漫画としてのテンポを悪くしているように感じますが、濃い内容が２巻にコンパクトに収められています。読み終わりは幸せな気分にはなれずモヤモヤしますが、忘れられないインパクトのある作品です。

ハッピーエンド…ではありませんが主人公ふたりが行ってきた悪さを思えば仕方がないかなと。ヴァルモンは贖罪の死という行き着くところまで行くしかなかったという悲しさの中に夫人との真実の愛を見つけて逝くことが出来た。これもある意味ハッピーエンドかな？と思いました。

誰も幸せになれない結末、ちょつとブルーになります。絵は、綺麗で華やかなんだけど

なんだか悲しい話でした。物語としても後味があまり良くない気がします。