額田王

著者藤田素子

ジャンル：レディースコミック
長さ：196ページ
3.1 （8人） 8

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作品詳細

歌と恋に生きた万葉の歌人、額田王（ぬかたのおおきみ）。近江の豪族・鏡王の娘であったが、天智天皇と大海人皇子との不和と皇位継承問題がからみ、血縁関係の憎しみをあらわにした「壬申の乱」に巻き込まれていく。類まれなる美貌の上に、その歌の才能は50年近くもの間、歌を詠み続けていたことからも明らかだ。『万葉集』に残る彼女の作品は、現在でも多くの人々に愛されている。物語はあの有名なクーデター「大化の改新」の前夜から始まる……！！

（※各巻のページ数は、表紙と奥付を含め片面で数えています）

3 3 きゃらみる額田王に関することは、巻末にも描かれている通り、鏡氏の娘であり、大王に仕えた万葉歌人であること、十市皇女の母でありながら、後宮には入らなかったことなどはわかっているようですが、その人生の殆どが謎の人物のようです。和歌の瑞々しさは、素人目にも素晴らしいですし、時の権力者の間で恋愛模様を繰り広げたという、才色兼備のリア充さんな訳で、創作する場合、結構自分勝手に肉付け創作できちゃう美味しいキャラなんだと思います。天智、天武の兄弟から寵愛されたことは有名ですが、この作品では、中臣鎌足というダークホースを相手役に持ってきており、驚きました。巻頭の人物相関図を見ると、天智も天武も脇役なのはまるわかりですが、それにしても扱いがひどすぎる、、、。考えてみれば、中臣は神職ですから、額田とつながっていてもおかしくないのですが、額田は仮にも『王』の名がついているので、天皇家筋の女性でしょうし、中臣は身分の低い神官の出自といわれています。それにしても、冒頭で雨上がりの庭の額田が15歳くらいに見えるアレの正体が何なのか、結局わからずモヤモヤしました。あとは、『あかねさす』のうた詠みシーンの解釈が面白かったです。そんな訳で、話の展開は独創的で面白いのですが、漫画としては残念な出来です。もっと上達してから書きなおして欲しいくらいです。あと、ここぞというシーンの時に、額田の結わえた髪がなぜか『はらり』するのが、宮﨑駿のヒロインを彷彿とさせるのと、『はらり』と書いてあるだけで動きがなく、全然『はらり』って感じの絵じゃなかったりして、個人的に突っ込みどころでしたｗ　とにかく、力量不足で惜しい漫画です。因みに、額田王に関する創作は、他に、井上靖の同タイトル小説『額田王』と、大和和紀の漫画『天の果て地の限り』が秀逸です。井上作品は、さすが歴史小説の大家の力作だけあって、時代考証等しっかり練りこまれており、素晴らしい読み物です。間接的にでも、この本を参考にした作品は多いと思います。大和作品は、恋愛モード全開で、政治色は弱めです。また、30年以上前の漫画なのに、絵が大変綺麗です。唯一の難というか、この方の漫画の特徴でもあるのですが、主人公またはその相手役の男性は、時代考証無視の髪型です。藤田作品に出てきた鹿のくだりや、遠乗りのくだりを比較するのも面白いですよ。興味があればぜひ。 2014-03-25 47675 0 1 sqF-a-v2 fjur-%A4%AD%A4%E3%A4%E9%A4%DF%A4%EB-v2