陽の当たる丘 分冊版第9章 暁までの深い闇 分冊版1
三宅会長は、「豪介は女を利用する事しか考えない男だ。芙由子もそれを知っているはずだ。それでも豪介を好きだというのか?」と芙由子を問い詰める。それに対して豪介は、「芙由子は俺がどんな男だろうと俺に惚れている。ちょっと声をかければ俺に抱かれたくやって来る。昨夜もそうやって一晩中俺に抱かれていたんだ。」と煽るように答える。それを聞いた三宅会長は寂しそうな顔を見せて去って行った。相当なダメージを食らってる。計画通りだと嘲る様に笑う豪介。豪介が三宅会長を動揺させて追い詰めるために2人の逢引きが三宅会長の耳に入るようにしたのだ。しかも、これはまだ序の口で芙由子への執着心で三宅会長の心を麻痺させておいて、その間に山手病院を潰し豪介の望みの病院システムを手に入れると言う。「もう1度だけ言うよ、俺と組もう!」そう言いながら口づけようとする豪介。だが芙由子は「先生のやり方は間違っている。先生と同じ夢は見れない!」と拒絶するが…!?【全21ページ】
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陽の当たる丘 分冊版
その町の丘の上の一等地には、人々から羨望の思いを込めて瑠璃屋敷と呼ばれる大きな病院とその家族が棲む屋敷があった。芙由子の母は下町のおんぼろ診療所で看護師をしていて、芙由子も時々手伝っていた。病院の仕事と匂いが芙由子は好きだった。父を早くに亡くし母が子連れで、あちこちの病院に住み込み芙由子を育てた。そのせいで病院の匂いが懐かしいに違いないと芙由子は思っていた。ある日、母が交通事故に遭った!?
病院に駆け付けると母のベッドの横には見知らぬ初老の男が。初めて見たはずなのに奇妙な懐かしさを覚える。その男は母に死んだと言われていた父親だった!? 母の死後、芙由子は父親の許、瑠璃屋敷に引き取られる事になったが…!?
(※各巻のページ数は、表紙と奥付を含め片面で数えています)
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陽の当たる丘 分冊版第10章 甦る熱情 分冊版1
山手病院の院長となった秀一郎と共に理想の病院づくりに燃える芙由子達。だが秀一郎は系列病院が皆離反してしまったので自信がない、父と住んでいた屋敷も出て行く事になったと言い芙由子を驚かせる。そこに豪介と万理子が現れ、病院を秀一郎が継ぐ代わりに豪介が三宅屋敷を相続したので引っ越しの挨拶に来たと言う。秀一郎を屋敷から出し、あの広い屋敷に2人だけで住むというのだ。系列病院のほとんどが順徳会の傘下に下り、山手病院は裸同然。そこに三宅家にとって最大の資産価値がある三宅屋敷を獲られては山手病院も外堀を埋められたようなものだと指摘する鮫島に、この先も秀一郎を支援するつもりだという豪介。だがそれは山手病院を順徳会に引きずり込む罠だった!?鮫島の指摘に開き直って認める豪介。あまつさえ芙由子は豪介が送ったスパイだと言う。なんて事を言うの。もしも私があなたに逆らうなら愛があろうと叩き潰すと言ったのは本気なのね…!? 芙由子と豪介の戦いは、周囲を巻き込み悲劇へと向かう…!?【全23ページ】
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陽の当たる丘 分冊版第11章 遥かなる蒼穹 分冊版1
その日、鮫島の葬儀は深い驚きと哀しみの内に静かに執り行われた。けれど鮫島の最後の言葉は芙由子を自責の念へと追いやった。鮫島は芙由子のために死んだのだ。芙由子の理想の病院を創りたいという夢のために。それを叶えようとして彼は…。それは芙由子には重すぎる気持だった。自分はそれほどの事をして貰う価値のある人間だろうか。そして、この先どうしたらいいと言うのだろうか。一番の協力者で有り、いつも支えとなってくれていた鮫島を亡くして、この先…。あの事件の後、万理子は逮捕され裁判を待つ身となった。三宅の父である三宅会長を死に追いやったのは万理子だったのだ。その真相を正すために鮫島は万理子と戦い、そして非業の死を遂げた。だが豪介は万理子を見捨てる訳にはいかないと言う。この人はそういう人だ。野望のために残酷な事をしても、こうなった時に相手を見捨てる事を決してしない。本当は心の奥底に深い人間らしい優しさと責任感を持っている人。あなたがそんな人だから私はきっとあなたを愛したのだと思う。たとえ目的が違い同じ夢を見る事は出来ないと分かっていても。でも…だから…心の中に豪介への悲しみに似た愛が残り、そして自分は独りぼっちだ…芙由子はそう思った…。【全21ページ】
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