王妃マルゴ -La Reine Margot-

萩尾望都先生の作品にハズレ無し。一巻が素晴らしく煌びやかで濃厚で、漫画で有りながら小説を読み終えたような読後感があります。王妃マルゴ、素晴らしい作品です。

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時代に翻弄されたマルゴのドラマチックな生涯が、華麗な宮廷絵巻と共に展開されます。歴史の裏に隠された彼女の恋はどうなっていくのか、最後までハラハラさせられます。

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萩尾先生の時代考証の綿密さは素晴らしいと思います。安心して読めます。

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萩尾望都先生の視点で書かれた作品。本当はもっと血生臭いのでしょうが、読んでいられるのは先生のちからなのでしょうか。最後まで読んでみたい作品です。

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流石は、萩尾望都先生。なぜか何度でも読み返したくなります。フィクションの部分も多いのでしょうけれど、一人一人の人物がよく描けています。王太子だからと母カトリーヌメディチに新教徒の処刑をくる日もくる日も見せられてPTSDになったシャルルは10歳にも満たなかった。小学校低学年の男の子に毎日毎日無理やり処刑を見せるって虐待もいいところ。遊びたくても遊べない。人を家族を信用できない。してはいけない。でも信頼を渇望し続ける。その中で最後まで信頼を勝ち取ったナヴァル王。「また、狩りに行こう」「お供します」これが最後のセリフ。ナヴァルは政治家として、マルゴのどの兄弟より傑出していた。マルゴを愛しているといったのも嘘ではないだろう。しかし、マルゴが意地を張っていたせいかどうか、二人の愛は決定的にすれ違ってしまう。ちょっと残念。ただ元からナヴァルの女癖は相当悪かったようなので、マルゴのその後の身の落ち着け方は賢い選択だったかも知れない。ナヴァルの愛人たちは騙されて捨てられたり、暗殺されたりロクな目にあっていないように描かれているのは、読者を因果応報で安心させるためか。小姑のカトリンも、すっかり行き遅れになるまで兄に尽くしたのに、フランス国王になったら、好きな男との結婚は無理矢理無効にされ、ヨボヨボの爺さんと政略結婚を持ちかけたり、結局は利用されたに過ぎないように見える。政治家として優れていてもロクな男ではないかも。それとも権力の座に長く留まると腐敗するという法則か。メディチ家出身の新しい王妃に暗殺されたっぽいけれど、権謀術数がDNAの隅々まで染み込んでいるメディチの圧勝か。史実では王妃としての戴冠式の翌日に亡くなっている。マルゴの生涯の恋人ギーズは、いくらカッコよくても血気にはやって無実の新教徒を殺してしまうことを正義と考えるような男なので、私だったらごめんですが。。。中世の王侯貴族って何かが間違うとすぐ殺されて、本当に政治駆け引きのスキルがないと生き残れなかったのだなあと思う。綺麗で家柄が良くてチヤホヤ育ったスコットランドのメアリー女王は政治的センスが無さすぎ。末路は皆が知る通り。政治的才能を持たずして生まれ育ったというだけで首をはねられるなんて環境に比べたら、現代に生きる私たちの環境はまだ甘いのかも。

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