人間交差点 20
幼い頃、急激に普及したカラ‐テレビは、明るい未来の象徴だった。そして、TV局で番組の制作をしている父を、裕子は自慢に思っていた。だがある日、若い女の肢体を執拗に追い続ける父の視線に気づいた裕子は、一瞬で父に幻滅する。そして時が過ぎ、年老いた父は…【全221ページ】
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人間交差点
愛と憎しみ、喜びと哀しみが織りなす無限の人間ドラマを描く珠玉の名作殺した男の子供を、刑務所で出産した受刑囚・松沢良子。だがそれは、殺してもなお、消しがたい恨みをぶつけるためだけに産んだ子供だった。その心をいち早く見抜いた所内医・早川は、子供を松沢の手の届かないところへ隔離する。月日が流れ、松沢の出所日が間近に迫ったある日、退官していた早川が松沢のところを訪れる
(※各巻のページ数は、表紙と奥付を含め片面で数えています)
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みんなの感想
切ない (3人)
泣ける (2人)
深い (2人)
シリアス (1人)
人間交差点 1
愛と憎しみ、喜びと哀しみが織りなす無限の人間ドラマを描く珠玉の名作殺した男の子供を、刑務所で出産した受刑囚・松沢良子。だがそれは、殺してもなお、消しがたい恨みをぶつけるためだけに産んだ子供だった。その心をいち早く見抜いた所内医・早川は、子供を松沢の手の届かないところへ隔離する。月日が流れ、松沢の出所日が間近に迫ったある日、退官していた早川が松沢のところを訪れる【全247ページ】
人間交差点 2
仮出所日直前になると、何故か脱獄を繰り返し、刑務所に居続ける服役囚・鈴木。自分の女を殺した罪で捕えられたのだが、彼を捕まえた高橋刑事は、誰かをかばっているのではないかと、疑いの目を向ける。そして、殺人事件の時効を迎える15年の歳月が過ぎ、鈴木は「今度の出所日は脱走をしない」と明言。やはり他人の罪をかぶるために脱獄をし続けたのだ、と高橋は確信するのだった。そして、鈴木はたんたんと、自分と、殺された女・文子についてを語り出す【全247ページ】
人間交差点 3
少年はじめは、飲んだくれの父親に、学校へも行かせてもらえず、働いている。ある日、新任の女教師が、はじめを学校へ来させるように、父親に直談判にやってきた。だが、激怒した父は暴力に訴え、はじめは頭部に怪我を負ってしまう。そして、もうろうとする意識の中で、彼は手に斧を握りしめるのだった。意識を取り戻した時、父は頭を割られて死んでいた。だが、やってきた伊勢湾台風によって、家も、父の死体も、何もかもが押し流されていく。歳月が過ぎ、はじめは、女教師の保護のもと成長し、医者となっていた。だが、ある日、工事中に発見された白骨遺体が、父のものであることに気づく【全245ページ】
人間交差点 4
麻薬常習者だったという過去を背負った女・由起。だが、それを一時の過ちと理解してくれた男と結婚、夫とともに郊外に転居してきた。だが由起は、牛乳配達人と話しているところを、噂好きの警察官の妻に見られてしまう。何もやましいことはないのだが、妙な噂を流されているのでは…とどんどん妄想が広がる。そんな時、警官の妻が、彼女をジョギングに誘った。だがジョギングの途中、さらに妄想に取り付かれた由起は、警官の妻を突き飛ばし、彼女を殺してしまった【全231ページ】
人間交差点 5
台風がくると発生する女子大生連続殺人事件。その捜査にあたっていた片山刑事は、ある週刊誌の連載記事に載った大学と、殺された女子大生の通う大学が一致していることに気づく。そして、次の台風がやってきた日、片山をはじめとする捜査員は、次の標的となる女子大学周辺に張り込み、犯人を待つのだった【全233ページ】
人間交差点 6
朝のラッシュ時に踏切事故が起きた。当分、電車は動かない。朝の会議にサラリ‐マン人生がかかっている吉沢は、何とか会社に辿りつこうと右往左往するが、やることなすことすべてが裏目に出て、なかなか会社に行くことができない。時間は虚しく過ぎていくばかり。事情を説明すべく会社に電話を入れるが、会議に遅れた吉沢に対して、上司はその理由も聞かず、頭ごなしに怒鳴り付ける【全231ページ】
人間交差点 7
緑川道夫は売れっ子の俳優だ。次々と大量の仕事を引き受け、初めての出産を迎える妻が難産だと聞いても、病院へ行こうともしない。彼は仕事がなくなるかもしれないという恐怖感から、仕事の量を減らすことができないのだった。やっと重い腰を上げて妻のもとにやってきた緑川は、子供が産まれてすぐに死んだことを告げられる【全235ページ】
人間交差点 8
元・私立探偵、白鳥英悟は「過去を消す」商売をする女・白鳥さゆりの相棒を務めている。今夜もパ‐ティ‐で、彼女の噂を聞きつけたひとりの女が過去を消してもらうべくさゆりのもとを訪れた。一流企業社長の息子と結婚が決まったため、特殊浴場で働いていた過去を消したいという【全233ページ】
人間交差点 9
同じアパ‐トに住み、同じように貧しい学生時代を過ごした3人の男、君塚、吉田、江藤。彼らは今、それぞれ判事、市会議員、エリ‐ト会社員となり、社会で一定の地位を得て暮らしている。だが、そんな彼らの元に、一通の手紙が届いた。差出人は瑛子。かつて彼らを兄のように慕い、そして彼らが弄んで捨てた女からだった【全237ページ】
人間交差点 10
可奈は、これから売り出し予定の新進デザイナ‐。広告代理店の後押しも得て、念願だった新宿の摩天楼を見渡す部屋に自分のオフィスを構えることもできた。だが、これから売り出そうというその時、可奈は突然病に倒れてしまう【全237ページ】
人間交差点 11
今や、押しも押されぬ世界有数の自動車メ‐カ‐となった日豊自動車。その創設者のひとりである岡田宗介が、死を迎えようとしている。彼は優秀なエンジニアでありながら、役職につくことを拒み続けてきた男だった。何故、彼はそのようにひっそりと生きつづけなければならなかったのか?【全235ページ】
人間交差点 12
正一の家は母子家庭。母親がひとりで切り盛りする自宅の喫茶店には、売れない漫画家の吉岡と八百屋の若旦那がいつもたむろっている。母は日頃、そんなふたりを「人生に失敗した大人」と呼んでいた。だがある日、母親が正一を置いて家を出ていく。学校に警察がやってきて、母は、会社の金を横領した男と一緒だと告げられる。その日、誰もいないはずの喫茶店に帰った正一を、カウンタ‐の中から吉岡が迎える。そしてこの日を境に、吉岡と正一との共同生活が始まった【全235ページ】
人間交差点 13
殺人事件の容疑者を追って福岡にやってきた刑事の片田は、そこで意外な人物に出会う。その男の名前は矢崎。高校以来の親友で、学生時代、何においても彼の右に出る者はいないような優秀な生徒だった。だが、福岡の地で見た矢崎は、その頃の面影など見る影もなく、一人のチンピラになりさがっていた【全229ページ】
人間交差点 14
大劇団の主宰・朝川は、金と権力に汚れた男だ。彼は外国ものの人気作品や、小劇団があてた演目を金の力で横取りし、自分のライバルとなりそうな劇団をことごとくつぶして今の地位にのしあがった。今度も小劇団が上演して人気を呼んでいる芝居の上演権を、姑息な手段で手に入れようとしている。だが、その小劇団の主宰は、学生時代、演劇部で同期だった男だった【全235ページ】
人間交差点 15
町井はボケた母を老人ホ‐ムに預けている。母ひとり、子ひとりで育った彼は、小さい頃から母のことが大好きだった。その気持ちは今も変わらないと思う。だが、ボケた母と暮らすことは想像以上に大変なことだった。母をホ‐ムに預けたことは仕方のないことだと割り切っているつもりなのだが、ただ、母がボケた原因のひとつの引き金を、自分が引いてしまったことが彼を悩ませていた【全227ページ】
人間交差点 16
北の町で、寒さと飢えで倒れていたところを、実業家・吉村昭也に救ってもらった少年。それから彼はむしゃらに働き、吉村の経営する企業の本部長にまでなった。だが今また、あの少年の頃の「寒さ」が男を襲っていた。自分の20年間の労働に意味はなかったのかと…【全225ページ】
人間交差点 17
殺人を犯して服役中の息子と会うため、月に二度、男は刑務所へと歩いていく。かつて銀幕で名脇役だった男も今は仕事がなく、やむなく自分で考えた話を、さも出演した映画のように語り聞かせる。そんな日々をもう12年も続けてきたのだ。そのため、嬉しいはずの息子の出所が決まっても彼の心情は複雑で…【全229ページ】
人間交差点 18
出版社で働く岡崎には、大事にしている写真があった。そこには、貧しいなりをした母が写っている。この写真を見ながら、彼は、このような貧しい生活に陥るまいと、自分を戒めて生きてきた。だが、彼はこの写真に写っている母の姿を、実は自分が好きだったことに気づく【全225ページ】
人間交差点 19
病院の院長が補導された息子を引き取りに警察に来た。だが彼も、昔は相当なワルで、警察には度々やっかいになった人物だ。当時の彼を知る現・警察署長は、彼を更生させたものが何だったのかを問う。すると、意外な答えが返ってきた【全223ページ】
人間交差点 20
幼い頃、急激に普及したカラ‐テレビは、明るい未来の象徴だった。そして、TV局で番組の制作をしている父を、裕子は自慢に思っていた。だがある日、若い女の肢体を執拗に追い続ける父の視線に気づいた裕子は、一瞬で父に幻滅する。そして時が過ぎ、年老いた父は…【全221ページ】
人間交差点 21
「少女いたずら事件」を追っていた片田刑事は、現場のそばにある大学の保険センタ‐で聞き込み中に、大学生の自殺が増えていることを知る。それが事件に何か関連があるかもしれないと感じた片山は、後日ふたたび保険センタ‐を訪れ、そこで不審な学生に出会う【全223ページ】
人間交差点 22
一軒の書店が焼け落ちる火事が起こった。焼け跡から刺し傷のある焼死体が発見され、死んだ妻の夫で、書店主の原田が容疑者として逮捕された。逮捕直後、彼は犯行を否認していたものの、翌日には犯行を供述。だが彼の弁護人・鶴橋は、何故か、彼が犯人でないと感じ、真相を追い始める【全223ページ】
人間交差点 23
小学6年生の娘がクモ膜下で死んだ。道草をすることも許さず、ただ厳しく教育をしたツケがこれだった。娘の死に際にも、仕事で立ち会えなかったディ‐ラ‐の父親は、その日の朝方、もうひとりの企業戦士と出会う【全223ページ】
人間交差点 25
刑事の片田は、殺人事件の容疑者として、元・オリンピック選手の天野ゆりかを追い、故郷の佐渡までやってきた。そこで彼は、ゆりかの祖母のところに何度も出向き、話を聞き続けるが、祖母はいつも400年前の武将の話をするばかりなのだった…【全217ページ】
人間交差点 26
仕事にかまけて家族を捨てた男・刈屋。彼は今、孫ほども年の離れた、しかも自分と血がつながらない娘を育てている。まるで、本当の娘との生活をやり直そうとしているかのように【全217ページ】
人間交差点 27
大物政治家を告発するために、捜査のツメにホノルルにやってきた森脇検事。だが、異国での捜査権は自分にはない。滞在日数も限られてきて、アセる森脇は、自ら捜査を開始するが…【全244ページ】
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