心の旅路

メイブリッジの病院に、記憶を失った病兵スミスがいた。休戦の日、スミスはメイブリッジの町に迷い出て、旅まわりのショーの踊り子ポーラと出会う。ポーラはスミスの病気を治してやるために、ショーをやめてデヴォンの田舎に落ち着く。スミスは記憶こそ回復しないが、健康を取りもどしたので、やがてポーラと結婚し一子をもうける。ある日、スミスは寄稿している新聞社の呼び出しでリヴァプールへ行く際に交通事故で頭を打ってしまう。そのために彼の記憶はよみがえったのだが、逆にフランス戦線以来現在までの3年間の記憶を失ってしまった。昔の記憶が戻った彼は不審に思いつつも、自分、すなわちチャールズ・レイナーの家、サレイのランドム・ホールへ帰る。ちょうど父の葬儀のあった晩で、父の遺言状によりチャールズはランドム・ホールの主人となる。やがて兄に代わってレイナー商会主となり、実業界に雄飛する。この間にポーラは子どもを失い、スミスがレイナーであることを知る……。