河よりも長くゆるやかに

言うまでもなく、人物描写がとてつもなく巧い。舞台はかつての横田か福生か。大人になることを強いられる環境でたくましく生きる高校生たち。誰もが抱える表と裏の顔、家族に対する相反する思い、恋心と友情のせめぎ合いなどが、さらりと紹介され、主要キャラクターの人となりがページから浮かび上がってくる。天地をひっくり返すような大きなドラマはないけれど、焦りと諦め、笑いと涙、捨てきれない思いと微かな希望に満ちて過ぎていく日々。本作品の描かれた時代を思い、最新作の「詩歌川百景」を手に取ると、この作家さんの凄さに圧倒されるばかり。是非。

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表紙がおバカっぽいからと言って舐めてはいけません！吉田秋生先生が薄っぺらいDKの青春コメディで終わらせるはずもなく。河よりも長くゆるやかに続く人生を、それぞれが事情を抱え舟に乗ってる情景が思い浮かびます。エイヤっと流されないように踏ん張ったり、時には疲れて流れに任せたり。本当の河よりも、長くゆるやかに続く人生……ってな感じですかね。トシはカッコいい大人になりそうだなぁ因みに初めにこれ読んだの、トシや深雪たちより少し子供だった頃ですが、セリフやシーンの幾つかは、何十年も正しく記憶に残っています。

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とても文学的な、かといってそれに片寄りすぎず、高校生の大人と子供心のない混じった複雑な心の機敏を、絶妙なバランスで描いています。ときどき読み返すと、またその深さに気付きそうな、長く付き合える作品だと思います。

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いやあ、懐かしい。読めば理由は分かりますがこの作品はなかなか電子化しなかったので、読めて嬉しいです。バナナフィッシュを描かれる前の、ちょっとアンダーな世界の学園ドラマ。この漫画読んだ当時は高校生って、こんなに大人なんだと感心したものです笑

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