「極」怖い話
実話怪談に読者が期待するものの第一はもちろん「怖さ」である。それも怖ければ怖いほどいい。かつてないスリル、独りきりの部屋で思わず後ろを振り返ってしまうような生々しい恐怖感をたえず求めている。しかしながらその一方で、最後には「救い」が用意されていると、無意識に思い込んでいる……。そう、ジェットコースターと同じように、無事にホーム(日常)に帰れるからこそ望むスリルなのだ。体験者の周囲でどんなに恐ろしく悲惨な怪異が繰り広げられたとしても、最後には一件落着、めでたしめでたしで終わるのだろうと思って読み始める。だが、現実がそんな都合良く進むだろうか。無論、答えは否である。本書の話はすべて実話であり、残念ながらそういったカタルシスは期待できない。
土地や血の因縁、陰鬱で凄惨な怪異の連続に耐えうるつわものだけに、ページを繰って欲しい。
(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)
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